【文スト】【Weiβ】紅の彼岸花 (ページ19)

今日:26 hit、昨日:0 hit、合計:3,692 hit

16 コハルページ19

熱く燃える炎、
逃げ惑う人々の悲鳴、
頭がおかしくなるほど漂う死臭…
＿＿＿＿
『之は…ユウトの記憶？』
＿＿＿＿
俺は無我夢中に斬る。
血飛沫が服についても構わないくらい。
俺は無我夢中に斬る。
全ての怒りを押し潰すように。
俺は無我夢中に斬る。
愛していた家族の仇をうつために。
俺は無我夢中に斬る。
俺は無我夢中に斬る...！
俺は無我夢中に斬る！
俺は無我夢中に斬る！！
俺は！！俺は...俺は...。
＿＿＿＿
『ユウト、もう良い』
＿＿＿＿
俺は、自分の手を恐る恐る見る。
血に染まった刃が怪しく輝く。
そして刃にうつる、銀の面の男。
銀の仮面の男...それは俺だ。
Weiβになった俺だ。

顔を上げると、目の前に一人、生き残りがいた。
嗚呼、まだいたんだ。
罪人は裁かれなくてはならないんだよな...神様...。
＿＿＿＿
『もう、充分だって…』
幾らマフィアで見慣れているとは云え、幼馴染みが人に手を掛ける所は流石に精神的にもキツい。
＿＿＿＿
「ひいぃぃ！
ゆ、許してくれ！金を出すから！命だけは！！」

...許す...？誰が...？
誰も...許さない...。

「...許すわけねえだろおおぉぉぉ！！！
うわああああぁぁぁ！！！」

俺は無我夢中に斬る。
＿＿＿＿
『…っユウト、』
私の異能力は相手の記憶や頭の中を覗く事が出来るけど、覗いたのが夢だった場合、夢が覚めるまで終わらない。
＿＿＿＿

男の体が動かなくなってしまっても、
狂ったように、何度も何度も刃を突き刺す。

「っ！！っ！！返せ！！返せ！！
父さんを！！母さんを！！返せ！！返せぇぇ！！」

全ての怒りを吐き散らすように、
何度も刃を突き刺す。

『『ユウト!!』』
＿＿＿＿
叫んだ所で私の意識はプツリと途切れた。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
ユウトが目覚めると、気を失ったハルを中也が支えていた。
「…ハル、ハル!?」
「異能力の使い過ぎだ。あんなに長時間頭を覗いていたのは数年振りだったからな。」
「心配するでない、命に別状は無いからのお。」
紅葉の言葉でユウトはほっと胸を撫で下ろした。
しかし、ほっとしたのも束の間、
「おいおい、先刻の嬢ちゃんは気絶してんのか？」
「先に彼奴からやるか！」
先程の男達が現れた。
「…っち、おい餓鬼、他の所に未だ奴等が居るか見てこい。
ハルは俺が守っててやるから」
「幼馴染み置いて他の所に行く奴が何処にいんだよ。ハルは俺が守るって決めたんだ。」
2人は、男達に向かい駆け出した。