01:シャボン玉の記憶 ページ2
その日の帰り道。少年ーー
「はーらへったあー……今日の晩飯何だろうなあ」
ぎゅるりとお腹が鳴り、直ぐに思考はそちらに切り替わる。
最早頭の中は夕飯のことばかり。白喰は、夕飯に思いを馳せながら、帰路に着いた。
そのあと夕飯を食べ、風呂に入り、ベッドに転がっていると。ふと、昼間と同じように、頭の中に映像が流れる。しかし量は昼間より膨大で。
白喰は驚き、次から次へと流れ込んでくる情報量に、顔をしかめた。ずきずきと頭が酷く痛み、足をばたばたとさせる。とても小学校五年生の子供に、耐え切れそうなものではなかったのだ。
そして、最後の映像が終わり。白喰は。
「…………」
目を閉じていた。意識は無く、どうやら耐え切れずに、気絶したようだ。
*
ふわふわふわふわ。誰かが何かを言っている。
ここは何処なんだろう。いつの間にか教室のようなところで、席に座っていて。向かい側に見知らぬ女性が座っており、白喰に話しかけていた。
「でね、せないずがもう、ほんっとうに最高なのよ!」
きゃあきゃあとまるで恋する乙女のように、女性が言う。それに口を開こうとした白喰。しかし。
「うーんと、転校生ちゃんは?」
口から出るのは白喰の言葉ではなかった。しかし、会話は続く。白喰の口も、それが答えというように、言葉を紡いだ。
「転校生ちゃん?いや、選択肢とかスチル以外無いわよ」
「え、転校生ちゃん落とすゲームじゃないの?」
きょとりと首を傾げる白喰。女性は、はあ?と言いながら、冷ややかな視線を白喰に浴びせた。
「何をどう聞いたらそうなるの?転校生ちゃんはプロデューサーで、アイドルをプロデュースするの!」
「ええっ、そうだったっけ?」
「あんた私の話聞いてたっ?兎に角、転校生ちゃんは落とせないの!」
もう帰る、女性は席を立ち、教室を出て行った。残された白喰は、落とさないのかと少しショックを受けていた。
ーーところで、ぱちんっとシャボン玉が弾けるように、その景色は無くなった。きょろきょろと辺りを見回すと、シャボン玉のようなものが浮かんでいた。それらがぱちんぱちんと弾けていき。その度に映像が浮かんでは消えていく。
それら全部を見終わり。ぽつりと呟いた。
「ここってゲームの世界だったの?」
あとあの人友達だったんだと。
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作者名:彩織 | 作成日時:2017年8月19日 0時