◇拾捌 ページ25
*
ピリつく空気。木刀を持って向かい合う山伏と審神者。
多くの見物刀に囲まれながら、二人は呼吸を整えた。
山伏「カッカッカッ、手加減は要らぬぞ、主殿!」
『ふふふ、こちらこそ』
山伏「その心意気や良し!ならば拙僧も本気で行こうぞ」
そう言って両者は木刀を構えた。
広い庭の真ん中に二人、手合わせが始まる。
長「では、始め!」
長谷部のその一言で、Aは高く飛び上がり一回転をして打撃を与えた。バコンッ!と乾いた音が鳴り響く。
山伏「!!!」
『手加減、しないよ?』
スタッと地面に着地し、体制を整えてまた走り出す。
女とは思えないほどの一撃の重さ、柔軟性、そして俊敏性。彼女の全てが辺りを驚愕させるものだった。
山「…………」
倶「…おい、口が開いてるぞ」
山「そういうあんたもな」
次「ねぇ、あれほんとに主?」
太「主以外に誰がいるのですか」
あまり積極的に攻撃はせず、山伏の攻撃をひらりひらりと軽やかな身のこなしで避けながら山伏の死角や隙をついて重い一撃を与える。それは山伏が後退りをするほどの力であった。
そしてAが一際高く飛び上がると、
山伏は頭の前で木刀を横に倒して構えた。
バギッ!!!
蜂「お、折れた…」
鶴「おいおい、嘘だろ…」
折れたのは、山伏の木刀だった。
山伏本人も、鳩が豆鉄砲を食らったような面持ちだ。
山伏「……なんと言う強さだ…」
『ありがとう、山伏。いい訓練だったわ』
山伏「改めて自分の足りないものに気づけた!礼を言うぞ!まだまだ拙僧も修行不足だな!ガハハハハハ!」
『朝出かけるのはせめて朝餉を食べてからにしてね』
山伏「あいわかった!」
二人で飛び散った木刀だったものを拾い、裏庭の薪置き場に置いておく。これはきっとすぐに、陸奥守とか日本号が七輪で焼き魚作るのに使われるだろう。
愛「オレも主さんみたいに強くなりてぇな!」
蛍「俺も俺も〜」
『ふふ、たくさん食べて寝れば強くなれるわよ』
愛「本当か!?なら今日は早く寝よーっと!」
『そうね、それがいいわ』
蛍「主さんと燭台切と歌仙が作るご飯美味しいからなあ」
『それは嬉しいな。きっと二振りも喜ぶね!』
そんな他愛もない会話をしながら屋外道場を後にする。
私は、汗を流すために温泉に向かった。
497人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
プスメラウィッチ(プロフ) - 初めまして、続きの更新頑張って下さい。応援してます。 (5月5日 23時) (レス) id: b10205217f (このIDを非表示/違反報告)
あう - 1、本科と写しどれも個別の刀で追いめを感じる様な者ではないから。実際に国広は誇りを持っている。2、剣士と言うだけで刀の事はあまり知らなかった。3、日輪刀は十人十色の刀だから ※勝手な妄想です。気にしないでくれるとありがたいです (11月21日 23時) (レス) @page6 id: 64c26850b0 (このIDを非表示/違反報告)
凛音 - 本当に面白いです!続きがめっちゃ気になります!頑張ってください! (10月28日 9時) (レス) @page38 id: 0943923905 (このIDを非表示/違反報告)
榮薇(プロフ) - たまごがゆさん» 夢主ちゃんは、山姥切の言動に、自分が写しであることに負い目を感じていることを察して、わざと知らないふりをしている、という設定です!ご指摘ありがとうございます😊ありがとうございます😳これからもご愛読いただければ幸いです❤️ (2022年8月29日 9時) (レス) @page8 id: c8e9ae4c59 (このIDを非表示/違反報告)
たまごがゆ - 素敵な話で読み込んでしまいました! ところで質問なんですが、◇参 の羽衣石が写しや本科を知らないのは何故ですか?刀を持つ鬼殺隊士が知らないとは思えず… 更新頑張ってください!応援してます! (2022年8月26日 22時) (レス) @page8 id: 8c08499bcc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:榮薇 | 作成日時:2022年8月1日 21時