File 31 ページ39
……そのとき。
高槻「______なるほど」
尚哉たちの話に黙って耳を傾けていた高槻がそう呟き、微笑んだ。
高槻は全員から離れて背を向け、そして言う。
高槻「______残念だけど、そう簡単に本物の怪異とは出会えないみたいだ」
「…………」
高槻のその言葉は、すべてが繋がった時にいう言葉だ。
人差し指を鼻に添えてそう言った高槻をAは見つめる。
高槻が振り返り、口を開いた。
高槻「__“八百屋のお七”ですね」
尚哉「……………?」
「………」
授業中、高槻が話した話のことだ。
あのとき尚哉は出ていなかったため、何を言っているのかよくわかっていない様子。
高槻は気にも留めず話を続けた。
高槻「奈々子さんは、“山口さん”というときと“山口不動産さん”という時があります。
そして、奈々子さんが僕の家に泊まるとき、合鍵は“山口不動産さん”に借りたと言った」
高槻は桂木に近づき、確認するように顔を見ながら言うと、桂木は「はい」と頷く。
高槻「“山口さん”はお父さんを示していて、“山口不動産さん”は息子さんを指しているんですね」
山口も将司も、何を言っているのかわからない様子だった。
高槻は、将司に目を向けて言う。
高槻「…僕が奈々子さんの家に泊まることを、貴方は知っていた。
それでその様子を見にきたんじゃありませんか?」
将司「……………」
将司は黙って目を逸らす。
動揺しているのか、いまだに話を理解できていないのか。
高槻は知ってか知らずか、また口を開く。
高槻「そこで親しく話す僕たちを見た」
高槻は分かりやすく桂木に顔を寄せると、桂木は目を逸らしつつ頰を染める。
だが高槻は気付いていないのか、気にすることはなくまた将司に目を向けた。
将司はそれをチラリと見てからまた顔を逸らす。
高槻「僕を引き離したい一心で怪異を起こしたんですね?」
将司「…………」
黙りこくる将司。見つめる高槻。
状況を理解できていない桂木は、高槻を見上げた。
桂木「…それって、つまり…、?」
高槻「…………」
高槻は桂木を見つめてから、またゆっくり歩を進めた。
高槻「山口さんは、ここを手伝ってもらうために将司さんに戻ってもらったと言っていました。
将司さんのそれまでやっていた仕事はなんでしょう。
…左手のタコを見る限り、ギターを弾いていたのではありませんか?」
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かふぇもか(プロフ) - さらさん» こんばんは!えええめっちゃ嬉しいです私も大好きですよ((やめろ ありがたいお言葉感謝です…( ;∀;) (2021年9月13日 20時) (レス) id: 586d3de0ac (このIDを非表示/違反報告)
さら - こんばんは!!私ももかさん大好きですなので見捨てたりしません!!受験大変ですよね!!私も応援してます!!お体には気を付けて下さいね!!このお話ももかさんのペースで大丈夫ですよ!!いつも更新ありがとうございます!! (2021年9月12日 23時) (レス) id: d237d559b7 (このIDを非表示/違反報告)
かふぇもか(プロフ) - みーさん» わぁぁ嬉しいです( ;∀;)唯一ここが1番の安らぎ場です…()頑張りますっ (2021年9月12日 21時) (レス) id: 586d3de0ac (このIDを非表示/違反報告)
かふぇもか(プロフ) - りりりさん» たしかに面白そうですね!!(*'д'*)ぜひ参考にさせていただきますね!できるだけ毎日更新はするつもりです…少しずつ…() (2021年9月12日 21時) (レス) id: 586d3de0ac (このIDを非表示/違反報告)
かふぇもか(プロフ) - めみこたさん» そうなんですよぉいやぁ勉強がめんどくさいのなんのって(( 語彙力?そんなもの私はどっかに捨てて来ました← (2021年9月12日 21時) (レス) id: 586d3de0ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かふぇもか | 作成日時:2021年9月3日 20時