File 29 ページ37
…と、そのとき。
桂木「＿＿お待たせしました！」
向こうのほうから桂木が走ってきた。
3人の元で止まると、高槻はそれを見てにっこり微笑む。
高槻「じゃあ、行こうか」
尚哉「はいっ」
高槻の言葉と共に、4人は山口不動産へ歩き出した。
.
.
.
ペラ、ペラ、と紙をめくる音が聞こえる。
山口不動産の中には客は誰もおらず、いるのは資料をまとめる山口と何かを書いている将司だけだった。
あとは高槻たち4人のみ。
そこで、尚哉が口を開いて山口に言った。
尚哉「山口さんって、奈々子さんのお父さんと仲がいいみたいですね」
山口「………」
かすかに山口の手が止まったが、すぐに作業に戻った。
尚哉の言葉に、桂木は眉をひそめる。
桂木「え？母とは中学が一緒ですけど…」
まったく持って意味がわからない、というような顔。
尚哉は桂木へ顔を向けると、「でも」と言葉を継いだ。
尚哉「お父さんと電話で話す仲らしいですよ」
山口「…………！」
今度こそ、ピタリと山口の手が止まった。
尚哉たちには目を向けず、だが目を見開いて固まる山口。
なぜそれを、とでも言いたげな顔だ。
尚哉は続ける。
尚哉「…そして、そのお父さんは奈々子さんの状況に反対している…。
山口さんは、奈々子さんが東京が怖くて逃げ帰るように、“黒髪切”の話をしたんじゃないですか？」
山口「…なんだい急に―――」
尚哉「答えてください」
明らかに動揺している山口の言葉を、有無も言わさない声で尚哉が遮る。
山口は動かす手を止める。
そして、言った。
山口「………【チガウヨ】」
尚哉「―――――っ、！」
山口の声がぐにゃりと歪んで耳に届く。
その声を聞いた途端、顔をしかめて背けた尚哉…
だった、が。
尚哉「………もどっ、た……」
山口の声が歪んで聞こえた、ということは、山口は【嘘】をついていることが尚哉には分かる。
普通の人なら声も歪んで聞こえないし、嘘なんて分かるはずもない。
つまり、
尚哉の【嘘を見抜けられる力】が、戻ったのだ。
高槻「「……」」
小さくつぶやいた尚哉を見て、ふたりはかすかに笑った。
山口「……え？」
眉をひそめている尚哉が理解できず、そう聞き返してきた山口。
尚哉はその声にはっ、と我に返ると、「あ…いえ、」と言葉を濁らす。
そして山口に言う。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 387人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かふぇもか(プロフ) - さらさん» こんばんは！えええめっちゃ嬉しいです私も大好きですよ((やめろ ありがたいお言葉感謝です…( ；∀；) (2021年9月13日 20時) (
レス) id: 586d3de0ac (このIDを非表示/違反報告)
さら - こんばんは！！私ももかさん大好きですなので見捨てたりしません！！受験大変ですよね！！私も応援してます！！お体には気を付けて下さいね！！このお話ももかさんのペースで大丈夫ですよ！！いつも更新ありがとうございます！！ (2021年9月12日 23時) (レス) id: d237d559b7 (このIDを非表示/違反報告)
かふぇもか(プロフ) - みーさん» わぁぁ嬉しいです( ；∀；)唯一ここが1番の安らぎ場です…()頑張りますっ (2021年9月12日 21時) (レス) id: 586d3de0ac (このIDを非表示/違反報告)
かふぇもか(プロフ) - りりりさん» たしかに面白そうですね！！(*'д'*)ぜひ参考にさせていただきますね！できるだけ毎日更新はするつもりです…少しずつ…() (2021年9月12日 21時) (レス) id: 586d3de0ac (このIDを非表示/違反報告)
かふぇもか(プロフ) - めみこたさん» そうなんですよぉいやぁ勉強がめんどくさいのなんのって(( 語彙力？そんなもの私はどっかに捨てて来ました← (2021年9月12日 21時) (レス) id: 586d3de0ac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かふぇもか | 作成日時：2021年9月3日 20時
