6、校内鬼ごっこ ページ8
Aside
疲れた…
私が所属する3年B組は今はHRの途中である。
屋上でテニス部とお昼をともにしてから2日。
私はこの2日間、テニス部の人たちに話しかけられまくった。
教室では丸井と仁王に。
中庭での食事中には幸村に。
お昼休みの図書室では柳生と柳に。
移動教室ですれ違えばほとんど全員に声をかけられたのだ。
おかげで女子からの視線を体に穴があきそうなくらい感じている。
昨日はHRが早く終わったからいいものの、今日は先生の話がめっちゃ長い。
そのせいで教室の入口には幸村と真田が待ち伏せしている。
くそう！
せっかく昨日は目立たずに逃げ切れたのに…
先「よーし、じゃあ気をつけて帰れよ。」
私が考えている最中に帰りの会は終わってしまったようだ。
やばい。
なんも作戦考えてない。
しかし幸運な事にHRが終わるとクラスの女子は幸村と真田の方へと向かっていった。
ナイス！
初めてクラスの女子をいい人だと思った。
私は幸村と真田がいない方のドアからこっそりと出た。
しかし出た先には同じクラスの丸井と仁王が。
仁「柊、一緒に来てもらうぜよ。」
仕方ない…
ちょっとだけ『本気』出すか…
今ならほとんどの生徒は部活に行くか帰宅しているはずだから大丈夫だろう。
私はポケットに入れてある髪ゴムを取り出して髪を一つに束ねた。
そして来ていたブレザーを腰にきつく巻きつけた。
丸「？」
よし、行くか。
私は丸井に向かって走り出した
丸「え!?は!?ちょ、危ねぇ!」
丸井は動揺しているが私はお構いなしだ。
私は床を蹴り、丸井の肩に手をついた。
そして一回転して着地。
私の動作に丸井と仁王は驚きを隠せずにいる。
私はそんな2人を放っておいて階段へと走った。
このスピードなら運動部の男子といえど追いつけまい。
途中で柳生とジャッカルとすれ違い呼び止められたがそんなのは気にしない。
ようやく階段についたと思ったら下から切原が上ってきた。
切「あ、いた！柊先輩！逃がしませんよ！」
後ろに引き返そうにも追っ手が来ている。
私はまたも床を蹴り、今度は切原の頭上を超えた。
よし、これで全員…
柳「まだ俺が残っている。」
嘘!?
柳は着地地点に入り、私を受け止めた。
突然の事で私は体勢を整える事が出来なかった。
抜け出そうにも周りはテニス部に囲まれ、まだ下校していなかった人も集まってきていた。
あっ、平凡ライフ終わった…
私は柳に抱えられながらテニス部の部室へと連行された。
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作者名：澪音 | 作成日時：2021年2月21日 18時
