5 ページ5
「いらっしゃいませ〜…」
カランコロン。
ひとらんらんがベルの音を聞いて挨拶し、席へ案内しようと入り口を見れば。
『外観も素敵でしたけど、内装もとっても凝っていて素敵ですね！
あ、見てくださいおばあちゃん、お花が花瓶がないのに立ってますよ！！凄い…！』
興味津々といった様子で店内をキョロキョロと見ている、小柄で華奢な女性がいた。
思わず勢い良く近寄ろうとしたひとらんは、カウンターの角に思い切りぶつかってしまい、痛さに顔をしかめた。
まぁ、ひよこの顔は変わらないのだが。
「テーブル席とお座敷がございますが、どちらになさいますか？」
どんな子だろう、いい子だといいな。そう思い声をかける。見た目は、いかにも村娘という感じ。
ボブでふわりと下ろされている茶色がかった黒髪に、白いリボンカチューシャが映える。
素朴で愛くるしく爽やかなその様子は、まるでリンゴのよう。
声をかけると、驚いて目をぱちくりさせて、そのあと、子供のように目をきらめかせた。
ひとらんらんが首をちょこんと傾げれば、女の子ははっとして、元気に質問に答える。
『テーブルでお願いします！あと、車椅子のままで食べれるくらいの高さのテーブルってありますか？』
「ございますよ、どうぞおかけになって少々お待ち下さい。」
ぺこりとお辞儀をして、キャスター付きのテーブルを引いてくる。これまで来ていたお客さんの中にも車椅子の方が多くいらっしゃったので、日曜大工したのだ。
作っといて良かった…と思いながら、見にくい視界でよいしょよいしょ、と運ぶ。
幸い、マダムたちの朝会の時間は過ぎていて、お客さんは他に2、3人しかいない。その人たちも飲み物と軽食を頼んだら、それぞれ本を読んだり会話したりと、追加注文の様子はあまりない。
やはり一人で切り盛りするのは大変である。バイト雇おうかな。けど身バレは防ぎたい…。
テーブルを設置してお客さんを呼びに行くと、老婦人と女の子が何やら話している。
『えぇ、あれひよこじゃない？黄色かったよ。』
「えぇ、あれはペンギンだと思ったけどねぇ…。」
なんとも穏やかで微笑ましい会話に、ひとらんらんは思わずくすり、と笑いを溢した。
中々どうして、このなんの変哲もない女の子は、周りを平和にする能力があるらしい。
そうかなぁ…と丸め込まれそうになっている。
軽く足音を立てて近寄ると2人は同時に顔を上げた。ひとらんらんをみた瞬間、老婦人はあれまぁ、と目を細めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 330人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Iam猫(プロフ) - ごふっ…(尊死) (2023年2月24日 19時) (
レス) @page27 id: 3ca575e283 (このIDを非表示/違反報告)
そや(プロフ) - ココさん» 「採用ッ！！」ボイスの需要高いですよね笑笑楽しんで頂けているなら光栄です。おまたせして申し訳ない…！応援ありがとうございます！ (2020年8月31日 19時) (レス) id: 24954b5e40 (このIDを非表示/違反報告)
ココ - Ht さんの「採用ッ！！」を聞きたくなったのは私だけではないハズ…………とりあえず貴方様に対して叫ばせて下さい。「神か！？」((何週でもさせて頂いております。これからも執筆頑張って下さい。応援してます。 (2020年8月15日 23時) (レス) id: d05d7912b9 (このIDを非表示/違反報告)
そや(プロフ) - えびふらぁいさん» ありがとうございます式挙げましょ((お楽しみいただけているようで嬉しいです、がんばります！ (2020年8月14日 11時) (レス) id: 24954b5e40 (このIDを非表示/違反報告)
えびふらぁい - え、好きです結婚しm((ん"ん"ｯｯ頑張ってください！ (2020年8月8日 8時) (レス) id: 0d40d9cbd5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：そや | 作成日時：2020年2月11日 19時
