34 彩side ページ35
中年女性は笑いながら魔法瓶を持ち上げる
「給茶機って私の席から遠いじゃない。私、大量に飲むからね。一々汲みに行くの面倒なのよ。あ、そっち終わった?じゃ行こっか」
3人が出て来そうだったので私は急いで傍の壁の窪みに隠れた
「でも絶対あれはKAITO王子だったわよ」
「まだ言ってるし」
まずトレーを持った女性2人が姿を見せその後ろから中年女性が魔法瓶を提げて現れる
3人で廊下の途中の事務室と表示されて部屋へ入っていった
それを見届けて私は辺りを観察
職員用給湯室の隣に来館者用給湯室と書かれたドアがあるのを見つけた
開けてみると内部の造りは職員用給湯室と同じ
調理台の上にはさっき中年女性が持っていった様な魔法瓶が数個並んでいて隣に沢山の茶碗を乗せたトレーと緑茶や紅茶コーヒー等のティーバッグが置かれていた
壁には、自由にお使い下さい、と書いた紙が貼ってある
私はメモ帳を出しながら廊下に出て自分が今入手して情報を書き留めた
恋する図書館の館長の名前は佐竹
年齢は40代で、クールボーイのファン
性格はちょっと軽めで強気
でも若い2人との会話は和やかだったからきっと好かれてるんじゃないかな
書きながら窓下を見ると庭園の脇にワゴン車が停まっていて作業服を着た男の人達が車から同じサイズの段ボール箱を幾つも運び出してるところだった
庭の北側にある倉庫の方へ様に持っていく
その作業服に私は見覚えがあった
うちの学校にもよく出入りしている業者で名前は確か、大久保商会
文具から家具、水や食料品、電気製品まで扱っていて学校の注文に応じて届けてくれる大手の会社なんだ
段ボール箱の外側には電機メーカーの名前が書いてある
あれ、本じゃないよね、電気製品だ、何だろ
そう思いながら見ていると、やがて図書館の中から中年の男性が出てきて大久保商会の人達と談笑し始めた
手には印鑑を持っていて話しながら大久保商会の人が差し出す伝票に押している
ははん、図書館が注文した物を大久保商会が納入しているところなんだと私は思った
それにしても沢山だよね、なんだろ
そう思いながらメモを書き終え階段まで戻って集合場所に向かった
でもまだ誰も来ていなかったんだ
私の調べた3階は若武も言っていた通りスペースが狭かったから早く終わったみたい
それで皆を待っていたんだけどよく見るとすぐ近くにあるハンバーガーの自動販売機の前に小塚君が立っていた
16人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:驪乃 | 作成日時:2021年6月3日 21時