26話 喧嘩 ページ27
その喧嘩は見ていていいものではない。相手は中学生。小学生の少年に、勝ち目なんてあるはずがない
そろそろ立っているのもやっとなぐらい、ボコボコにされた少年は、ふらっとふらつき始めた
そろそろ限界も近いと、そう思った時少年の後ろで今にも泣きそうな女の子が「お兄ちゃん、お兄ちゃん」と呟いていた
確か、…彼女は知っている。主人公が想いを寄せていた女だ
そうか、あの子がさっきの声の正体か
「もうやめてよっ!お兄ちゃんをいじめないで!!」
「うっせえよ!ぎゃあぎゃあ叫ぶんじゃねえよ泣き虫野郎が!!」
「ヒッ…う、うぅ」
「あー、腹立つわこいつら」
…本当に、見ていていいものじゃない。だが、ここで私が出れば原作が変わる。物語に関連する事になる
彼の過去の事件に、私が首を突っ込んで言い訳ない。
心を鬼にして、その場を離れていく。別に恨まれたっていい。最低だって思ってくれたっていい。でもそれ以上に、どこかモヤモヤとしたものが体の中にあった
「へへ、そーだあ。もっとおもしれえ事しようぜ」
駄目だ、駄目だ
「おー、いいねえ。じゃあ、次はあの泣いてるガキにすっか」
動くな、動くんじゃない
ここで、私が出ていったら――
「誰か、誰かお兄ちゃんをたすけて!!」
『 お姉ちゃん、助けて!! 』
「っ!!」
妹の声と重なり、後ろを振り向いた時、中学生の不良が手に握る光る刃が少年の額を縦に切り裂いた
ブワッと、宙に飛ぶ血しぶき。妹を庇って、少年は地面に倒れた
「お兄ちゃん…?お、お兄ちゃん!!!」
「ハハア!!ざまあねえ!!」
倒れた少年の傍に駆け寄り、女の子はまだ意識のある少年の身体を抱き締めて、叫んだ
しかしそれに動じることなく、不良は、もう一度ナイフを上にあげ、
「俺達に逆らったから悪いんだぜ、」
妹と少年目掛けて振り下ろされ用としていたが、それは二人には届かない
痛みを感じない反対に、聞こえるのは男の悲鳴と衝突音
「な、なんだてめえは!!」
もう1人の片割れを前にして、私は今さっき蹴り飛ばした男がいる方から視線を彼へと向けた
殺意を込めて送った殺気に怯える不良は、腰を抜かしその場を動けない
私はそいつに近づいて、蹴り飛ばした男が持っていたナイフを、そいつの首に当てた
「 選択肢をあげる 」
.
268人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蓮@(プロフ) - 闇の道化師さん» ありがとうございます!喜んでもらえたのなら作者も嬉しいです。更新頑張りますね (2017年3月8日 18時) (レス) id: 265fac0211 (このIDを非表示/違反報告)
闇の道化師 - こういう作品大好きなので頑張って欲しいです!これからも頑張ってください♪ (2017年3月7日 23時) (レス) id: a4c5ed2f5a (このIDを非表示/違反報告)
蓮@(プロフ) - (名前)さん» ありがとうございます!楽しんでいただけるよう作者も頑張ります。 (2017年3月5日 22時) (レス) id: 265fac0211 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - お返事ありがとうございます。私もハッピーエンド好きなので嬉しいです。更新頑張って下さいね。 (2017年3月5日 21時) (レス) id: f2e5b2371a (このIDを非表示/違反報告)
蓮@(プロフ) - (名前)さん» 落ちは決まっています!作者はハッピーエンドが好きなのでそうしようかなと思っています!一応話はシリアスメインですけどね (2017年3月5日 20時) (レス) id: 265fac0211 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ