第1話 ページ3
今日はかなり体調が優れているみたいで屋敷内をうろうろしていた。
「ねぇ、何か私に手伝えることはないの?」
と掃除をしている女中に聞いてみるものの
「!!…そんな滅相な!Aお嬢様にお手伝いをしていただくなど!!」
と断られてしまった。
お嬢様だからとかそういうことは関係なしに心を許して何でも任せてもらえると本当に嬉しいのだがそれは女中にとって驚くべきことらしくて
「…そう、だよね…。」
と言葉に詰まりながら肯定した
ぎしぎしと軋む廊下を歩きながら考えた。
この広いようで狭い屋敷は私の中ではそれが全てでありそこから外に出ようとは考えたこともなかった
そして昔の私はそれが世界というものだと思っていた。
いつか父が言っていた言葉を思い出した、、
「小さな籠の中に捕らわれた小鳥はそれが全てであると、それが世界と勘違いしている。」
いつしかすうっとフラッシュバックする父との記憶には白くもやっとしたものがかかるようになった。
物心ついた時からいたこの屋敷は私にとっては世界と同じなんだ、
今思うと父が言っていた言葉はもしかしたら私のことを言っていたのかもしれない。
でも近藤さんや十四郎、総悟くんに出会ってから私は変わった。
こんな屋敷にとどまっていた私にほぼ毎日会いに来てくれて外の話や仲間の話、私の知らない沢山の世界を教えてくれた。彼らに触れて初めて知る世界は意外と広かった。
特に十四郎は芯が強くてブレなくてマヨネーズ大好きで、無駄にプライドが高くて、不器用で、でも優しくて………。
あれ?
「私なんで、?」
知らない間に頬に涙が伝っていた
何度拭っても何度も何度も拭っても止まらない涙
「はぁ、、手紙を書こう!こんな時こそ手紙だ!」
自分の頬を軽く両手で叩いた
痛くてヒリヒリするけどそれは自分を奮い立たせるため、そう思い自分の部屋に向かった…。
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ピピコ - コメント失礼します!題名がもう素敵でプロローグも素敵でした!!これからのお話が楽しみです!! (2017年3月28日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴森 なつめ | 作成日時:2017年3月28日 22時