ろ ページ4
『……っちょ、だからおかしくないですか？！
人質を殺、し…たら、意味ない…でしょ…う…！
……って何で俺、生きてんの？』
さっきまでなかった腕も、いつの間にか生えている。
腹部に開いた風穴も、徐々に塞がり、遂には跡形もなく消えてしまった。
『何これ、どういう仕組み！？』
ペタペタと腹部に手を当てても、そこにはいつも通りの俺の腹があって、もがれた腕の跡も、継ぎ目ひとつない。
痛覚はあるが、その感覚も治った今では何もなく、後遺症もない。
自分の体をよく観察してみると、爪は鋭く伸び、二の腕や脹脛には筋肉の筋が薄らと浮かんでいる。
感触的に歯も、特に犬歯が鋭くなっていた。
なるほど、完全に獲物を捕獲して食べることに特化した、肉食動物のような体のつくりだ。
「貴様は鬼となった、が、貴様を鬼にした理由は他の鬼とは違う。
詳しいことは他の鬼共に聞くといい、私は忙しいのだ。鳴女。」
ベン、と琵琶が鳴ると、例の男は姿を消した。
……瞬間移動かよ、何でもできるな、鬼は。
『そういえば、俺誰だっけ。
あの人の名前も聞き損ねたぞ、逆境に強かった俺がまさかこんなにも動揺する羽目になるとは…。』
鬼になったことに対する驚きのせいで、自分の記憶がなくなっていることを忘れていた。
なくなっていると言っても、今までの俺の性格やら過去に得た知識やらは継承されているようで、
とりあえず自分の名前だったりどのような過去を持っているのかは一切わからない、という感じらしい。
生活には困らないのだろうけど、痒いところに手が届かないような状態だ。
鬼になったことに対する順応が早すぎると思う輩もいるだろうが、仕方ない。学者肌なのだ。
驚く時間があったら、自分への研究に費やす方がより有意義である、そう考えただけである。
肌、肉の感触、再生の仕方、それから爪の強度、付加された筋肉の程度(元はほぼ皆無)etc、鏡がないから顔の確認はできないが、皮膚の色の変化は見られないし、部位の何処かが欠損していたり変形もしていないようだ。だが何故か髪の毛の色だけは黒から薄い紫に変わっていた。
その他、精神的な面で言えば、人間の3大欲求のうち、食欲以外は無くなっている、と予想している。
睡眠欲はまだ24時間過ごしていないから検証結果はこれからだが、性 欲に関しては一切無いと言っても良い。
まあ……いろいろ試してみてそう推察できた、他人に口外するような内容でもないので察してくれ。
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串(プロフ) - 罷免さん» はじめまして、コメントありがとうございます。どツボにハマって頂けましたか…！正直癖の強い作品だと思っていたので、罷免さんを含め多くの方に評価して頂いている事実に毎度驚愕しております…。これからもちゃんと更新するので、作品共々よろしくお願いします！ (2020年2月29日 2時) (
レス) id: 94b567b340 (このIDを非表示/違反報告)
罷免 - どツボです…更新ありがとうございます！！！ (2020年2月27日 22時) (レス) id: d073c1529e (このIDを非表示/違反報告)
串(プロフ) - はじめまして、コメントありがとうございます。楽しんでもらえるよう、予測できない展開にしようとこんがらがり気味ですが、面白いと言って頂けて嬉しいです！無計画なので変な点もあると思いますが、是非最後までお付き合いください。これからもよろしくお願いします！ (2020年2月27日 20時) (レス) id: 94b567b340 (このIDを非表示/違反報告)
アクトレモン(プロフ) - とてもこの作品が大好きです！！今まで見たことがない展開などとても面白いです！更新頑張ってください (2020年2月27日 11時) (レス) id: 4bdd481c8a (このIDを非表示/違反報告)
串(プロフ) - ウルさん» はじめまして、コメントありがとうございます！会話文だけの夢小説が苦手だったので、情景や心情描写を出来るだけ挟むようにしていたのですが…、まさか読者様の妄想の糧になっていたとは思いませんでした笑 応援とても嬉しいです、これからもよろしくお願いします！ (2020年2月22日 20時) (レス) id: 94b567b340 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：串 | 作成日時：2020年2月15日 20時
