ケージ:108 ページ12
腰に下げた大振りのポーチから何かを取り出す。控えめにだがレースのついたそれは、どうやら女性用のもののようだ。そろりと近寄ると、ショッピさんが取り出したものを広げた。布地でできているが、どこかにつけるのか、太めのベルトがついている。装飾だろうか。
「ガンホルスターなんて、またエラいもんですね。__あ、グルッペンさんからです。別に俺の趣味やないんで。」
ぽん、と手のひらにのせられたそれは、重厚な作りの割に見た目ほどの重さはなかった。グルッペンさんがですか、と尋ねるとこくりと一つ頷いてショッピさんがバイオレットの瞳を細める。ふう、と煙を吐き出してあくびをした。
「ゾムさんがしてるでしょう。アレです。付け方は何となく分かるでしょ。太ももです。ふ、と、も、も。」
「っあ、わ、わかります、わかりますから。」
いやに強調されて顔が熱くなる。そうですか、と無表情に頷いてショッピさんが一歩引いた。
……頭にゾムさんを思い浮かべる。そういえば彼はいつも太ももに黒いベルトをしていた。ナイフや、ポーチを下げていた気がする。
ガンホルスター、と言っていた。グルッペンさんは、使うも捨てるも自由だと言ってあの銃を私に与えた。私はまだ使ってもいないけれど、捨ててもいない。___私が銃を捨てないことを見越して、彼は私にこれを贈ったのだろうか。
「物騒な贈り物ですね。」
「……。」
目線をガンホルスターに落としてショッピさんが呟く。私が銃を貰ったことを、グルッペンさんは彼らに伝えているのだろうか。私からは、何となく言う気にはなれないのだけど。
グルッペンさんが私に銃を渡した意味は、いまだに分かっていない。
あの夜は、あまりよく眠れなかった。
楽しそうにしていた。含むような、笑顔。___彼は、何かを期待しているのだろうか。
「どうしました。」
訝しげな声に顔を上げると、ショッピさんが胡乱に私を見つめていた。
「ぼけっとして……なんや変なもんでも食いました？」
「え？え……？いえ、何も……ないです。すみません。これ、いただいてもいいんですか？」
「いいも何も、そういう風に聞いてます。俺がもっててどうするんですか、アンタが持ってってください。」
「……はい。ありがとうございます。」
タオルと一緒に抱えると、頭を下げて部屋を出た。私が部屋を出るまで、ショッピさんはまた、とふらふらと気だるげに手をふってくれていた。
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かぼちゃ(プロフ) - この作品大好きです。最高です。何度も読み返しています。主人公が可哀想で可愛い。仄暗さが最高です。更新いつまでも待ってます。 (9月29日 0時) (
レス) id: af8b6c02d3 (このIDを非表示/違反報告)
さく - 続きは何処…！ (2022年11月18日 7時) (レス) @page32 id: 77c841469d (このIDを非表示/違反報告)
バカふわ - 続きと結末が気になります！ (2022年9月27日 21時) (レス) @page32 id: 95afcd7436 (このIDを非表示/違反報告)
りこち(プロフ) - すきです！！とくにz脅威さんの台詞の吃り方が天才です！！！！すき！！！！ (2021年2月21日 15時) (レス) id: 7094782543 (このIDを非表示/違反報告)
あか - とっても好きです！？！？！？！描写がとっても素敵で....更新ゆっくり待ってますね！！ (2020年5月23日 16時) (レス) id: 2c4cbba459 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちくわ | 作成日時：2020年2月26日 20時
