ケージ:80 ページ33
「いらん！ぜっっっったい飲まへん！オマエもやめろや！」
「さっきまでばかすかのんどいてなにいうてん。はよのめや。……あ、Aちゃんもええで？」
「だぁめぇでぇすぅ！！」
バッとロボロさんがしんぺい神さんの手から陶器の器を取り上げる。
私がいるから、ロボロさんはお酒を飲めないのだろうか。私のことは気にしないで欲しいと伝えれば、彼は「気にするわ……。」と小さく呻いた。
「じょうだんやって。……ほい。さゆやけど。のみ。」
「……酒やないやろな。」
「なわけないやろ。うっさいやっちゃでもぉ……。」
差し出されたマグカップを受け取る。中にはふわりと湯気を立てる、透明の液体が入っている。
口をつけて、こくりと嚥下するその一連を、しんぺい神さんはじいっと見つめていた。何か粗相があっただろうかと心配になったものの、何かに得心したようにしんぺい神さんが一つ頷いたので、追求はしなかった。
体の内側から、ほんのりと熱が回っていく。白湯とは、こんなものなのか。
「んで、な。どうしてん？なんかあったんやろ。」
本題、というように一口お酒をあおってしんぺい神さんが頭をかいた。
お酒の酔いが回っているのにもかかわらず、彼の観察眼は鋭かった。
……いや、私が分かりやすいだけ、なのかもしれないけれど。
「……。」
どう言えばいいか分からず、口淀む。
そもそも、これは言ってもいいことなのだろうか。
どうすればいいか分からず黙り込む私に、「ひとまずそれ、のみ。」としんぺい神さんが手の中のマグカップを指差す。
言われた通りに何度か口をつける。
だんだんと体が温まってきて、眠たくなってくる。これではこのまま寝てしまいそうだ。
「なにが、あったん。」
もう一度ゆっくりと、しんぺい神さんが私に問いかける。
ほとんど無意識の内にマグカップの中身を飲み干して、私はぼんやりと考えた。
なにがあったか。
なにがあったか。
ちがう。あったんじゃない。さっきわたしは、わたしは、わたしが、かんがえていたこと。
それは。
「……？」
ロボロさんが怪訝そうにこちらを窺う。
頭が、思考が覚束ない。
ただ、あたたかくて、ふわふわして、こわくて、さみしくて、泣きたい。
あ、と嗚咽が漏れたのは、それからすぐあとのことだった。
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えある。 - zmさんかわです。天才がここにいるっ!主さん神ですね！応援してます〜 (2023年4月6日 10時) (
レス) @page16 id: 9c1c96d73e (このIDを非表示/違反報告)
（名前） - ゾムさんが可愛すぎるっぴ…キャラ崩壊してるっぴ。いつものかっけえゾムさんどこ言ったんだ……最高 (2020年4月13日 15時) (レス) id: ca685f05f7 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわ(プロフ) - (´ω`)ｳﾄﾞﾝﾀﾍﾞﾀｲさん» コメントありがとうございます。お褒めの言葉、もったいないくらいです。とっても嬉しいです。自己満で書き始めたものですが、少しでも多くの人に楽しんでもらえれば幸いです。 (2020年2月26日 20時) (レス) id: bceee2f54e (このIDを非表示/違反報告)
ちくわ(プロフ) - neccoさん» コメントありがとうございます。アワ……めちゃめちゃ恐縮ですが嬉しいです。応援もありがとうございます、こつこつがんばっていきます。 (2020年2月26日 20時) (レス) id: bceee2f54e (このIDを非表示/違反報告)
(´ω`)ｳﾄﾞﾝﾀﾍﾞﾀｲ - ちくわさんの書く小説ほんと好きです！語彙力があるところ、表現の仕方がとても素敵です。リピーター続出ですね(*´-`) (2020年2月25日 22時) (レス) id: 43fae56533 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちくわ | 作成日時：2019年9月29日 11時
