ケージ:65 ページ18
「え？え……と、え？あの……。」
いきなり一変した空気。きっとグルッペンさんのさっきの発言がそうさせたのだろう、ということまでは理解できる。
理解できるけれど、問題はその先である。
『男をしらない』。
おとこをしらない。
あまり教養がないことは自覚している。けれど。けれども。
「……。」
グルッペンさんたちは男の人です、なんて事を口に出そうとして引っ込めた。
違う。きっとそういう意味じゃない。グルッペンさんが言っているのは、きっとそういう意味じゃなくて、もっと別の何か。そうじゃなければそもそも、
「ほ、ほんまなん……？」
「……。」
……そもそもきっと、こんな空気にはならない。
「な、なあ。Aちゃん、ほんまに、ほんまなん……？」
「そ、その……。」
そろりとこちらを窺うシャオロンさん。本当も何も、それが何がか、さえ分からないのだ。答えたいけれど、答えようがない。
狼狽える私の視界に、すっと影が落ちた。
グルッペンさんだ。
戸惑う私の顎を、すい、とグルッペンさんの指が捕らえる。
「……。」
ほんの少しだけ、体が後ろに引く。
そんなに膨れっ面するな、とグルッペンさんが嗤う。私じゃない。私を引き寄せた、ゾムさんに言っているのだ。
「グルッペン、なにすんの。」
シャオロンさんの掠れた声。
聞いたことのない、どこか焦燥に駆られたような色が滲んでいる。
辛うじて、という風に彼が出したその声で、ようやく私は危機感を抱き始めた。
これは、よくないかもしれない。
「ぐ、グルッペンさ、」
「いい機会だ、お前がどこまで知っているか試してみてみようか。」
グルッペンさんが笑う。
赤い瞳がぐにゃ、と歪む。
彼を見上げた鼻先を、金色の髪がくすぐる。
彼のこの瞳を、そのどこか淀んだような色を、私は知っている。
この瞳は、あの時見たのと同じ……
「だ、だめ……！」
「！」
咄嗟に口走って、グルッペンさんの肩を押した。
手は小刻みに小さく震えていて、力が入っているかどうかも怪しいけれど、確かに私は抵抗した。
だめだと思ったから。なぜかは分からないけれど、私の中の何かがそう言っていた。警鐘を、鳴らしていたのだ。
「ご、ごめんなさ……い。」
こんなことは初めてで、自分でも何がなんだかよくわからない。
けれど、確かに明確に、私が私の体で示したのは、拒絶だった。
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えある。 - zmさんかわです。天才がここにいるっ!主さん神ですね！応援してます〜 (2023年4月6日 10時) (
レス) @page16 id: 9c1c96d73e (このIDを非表示/違反報告)
（名前） - ゾムさんが可愛すぎるっぴ…キャラ崩壊してるっぴ。いつものかっけえゾムさんどこ言ったんだ……最高 (2020年4月13日 15時) (レス) id: ca685f05f7 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわ(プロフ) - (´ω`)ｳﾄﾞﾝﾀﾍﾞﾀｲさん» コメントありがとうございます。お褒めの言葉、もったいないくらいです。とっても嬉しいです。自己満で書き始めたものですが、少しでも多くの人に楽しんでもらえれば幸いです。 (2020年2月26日 20時) (レス) id: bceee2f54e (このIDを非表示/違反報告)
ちくわ(プロフ) - neccoさん» コメントありがとうございます。アワ……めちゃめちゃ恐縮ですが嬉しいです。応援もありがとうございます、こつこつがんばっていきます。 (2020年2月26日 20時) (レス) id: bceee2f54e (このIDを非表示/違反報告)
(´ω`)ｳﾄﾞﾝﾀﾍﾞﾀｲ - ちくわさんの書く小説ほんと好きです！語彙力があるところ、表現の仕方がとても素敵です。リピーター続出ですね(*´-`) (2020年2月25日 22時) (レス) id: 43fae56533 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちくわ | 作成日時：2019年9月29日 11時
