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第陸拾伍戦 無事 ページ18

どちらに転ぶかは、刀剣男士に委ねられるのだろう。

◆◇◆

三日月と小夜左文字を説得し、彼が抱えていた少年と共に離れを出ると、早速長門は問答無用で手入れ部屋に放り込んだ。

「きみは豪胆だな」

「撃墜王程ではないです」

長谷部に担がれた三日月と小夜、少年を布団へ寝かせ、本体の手入れをテキパキと終わらせる。完全に作業に慣れ、契約切の札を刀身に張り付けた。
手伝い札を使って本体の手入れを終わらせると、瞬く間に三日月、小夜、少年の怪我が完治する。前任との契約が切れ、晴れて自由になった三日月は穏かな笑みを浮かべている。
全身に圧し掛かっていた重しも消え、身体が軽くなったと小夜は呟いている。

「おぉ、これはこれは」

「身体が……軽い……」

「(でもこれが普通なんですけどね)」

綺麗になった三日月の本体の打ちのけを眺めながら、長門は溜め息を溢す。夜伽は兎も角、本体をここまで傷つける必要はあったのだろうか。否、そうしなければ、長谷部を抑えられなかったのだろう。

「三日月、折れたと聞いていたが、無事で何よりだ」

「あぁ鶴丸、お前たちもだ。長門、改めて礼を言う」

「いえ、お気になさらず。三日月さんや小夜君は此処で休んでいて下さい」

三日月と鶴丸は、お互いの無事を確認すると、穏やかに笑って見せた。その笑顔を見ていると、妙に新鮮で懐かしさを覚える。
長門は光忠たちへの報告がてら、手入れ部屋を後にした。手入れが終わったのは良いとしても、本丸内が荒れていては話にならない。早く掃除に取り掛からねば日が暮れてしまう。

「長門」

「あ、山姥切さん!丁度良かった」

三日月の居る手入れ部屋の隣の手入れ部屋から山姥切が顔を出す。長門は再び、山姥切を伴って向かったのは、本丸の台所である。
篭った瘴気とは別に、碌に掃除されていない所為で悪臭が充満している。生ゴミや即席料理のゴミは特に酷い。流石の長門も、軍服の袖で鼻と口を覆うと眉間に鋭い皺を寄せた。

「臭い」

急いで窓を全開に開け、悪臭と瘴気を逃がす。次第に綺麗になっていく空気を、全身と呼吸器官で感じ取った。

「どうするんだ?これを一度に片付けるのか?」

「やるしかありません。私も嫌ですが……四の五の言ってられません」

長門は佩刀していた愛用の太刀や飾緒を軍服から取り外し、汚れない場所に置くと、軍服の上着を脱ぎ、白いワイシャツと軍袴の軽装になる。山姥切も主だけに任しておかず、手伝う事にした。

紀元節と建国記念日→←第陸拾肆戦 三日月宗近



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大日戦(プロフ) - ふてんにぶおんぷさん» ハワイの資料館ですか!私も1度は訪ねてみたいです。私の両祖父が軍人だったのと、生まれが広島なものでよく話を聞かされていました。死が正義という時代から、死を望む時代に変わった事については、皮肉なことに国の根幹は変わってないのです…。 (2018年2月11日 14時) (レス) id: e07552d661 (このIDを非表示/違反報告)
ふてんにぶおんぷ(プロフ) - 大日戦さん» あの特攻した人の命を表す『ピイー』の音が、米軍の戦艦に突っ込んだ瞬間に『プツリ』と音が途絶える。その儚さにもう発狂しかけました。国のために命、家族すべて失うことが幸せな訳がないですよね?現代に生を得たから言えることですけど。また長文失礼しました。 (2018年2月11日 14時) (レス) id: 7ca422baae (このIDを非表示/違反報告)
ふてんにぶおんぷ(プロフ) - 分かりやすい解説をわざわざありがとうございます!(敬礼)私もハワイの博物館とかにあった特攻の資料?とか、遺書のようなものを幼い頃見ていました。今でもその時感じた憂いのようなものが晴れません。国のために命を散らすことが正義なんて・・・ (2018年2月11日 14時) (レス) id: 7ca422baae (このIDを非表示/違反報告)
大日戦(プロフ) - ふてんにぶおんぷさん» “のたまう”は、大体『言う』のニュアンスで書いております。目線は第三者のつもりですが、時々刀剣男士になったり、こんのすけになったり、審神者になったりと突然切り替わることも多々あります…。ややこしくてすみません;; (2018年2月11日 14時) (レス) id: e07552d661 (このIDを非表示/違反報告)
大日戦(プロフ) - ふてんにぶおんぷさん» あ、ありがとうございますぅぅ!退役軍人の手記や特攻隊員の遺書を拝見したことがあるんですが、やはり死への概念が今の人と全然違うのに驚かされましたね…。長門ニキは元大佐でも思考は現場寄りなので、デリケートな部分を書いていけたらと思っております…。 (2018年2月11日 14時) (レス) id: e07552d661 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:大日戦 | 作者ホームページ:https://www.pixiv.net/member.php?id=16263880  
作成日時:2016年12月18日 22時

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