検索窓
今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:12,824 hit

恋の雨音が響く―2 ページ20

彼との距離は何メートルもあったはずなのに彼は距離など関係なく、一瞬でその間をつめた。


彼のナイフが自分の鼻先をかすめかけるが、後ろにのけ反ってなんとか避ける。


銃弾を何発か彼に撃ち込むが、彼はいとも簡単に避けてしまった。


「「ッ!」」


彼の追撃は止まず、刃が眉間に迫るが、攻撃する腕を抑えて彼の攻撃を防御する。


「…チッ」


軽く舌打ちをしたかと思うと、ひょいと背後に周りかけられる。


後方へ蹴りをかますと、ようやく感触があった。

“彼女”の体が吹き飛ぶ。


何故かズキリと胸の奥が痛んだ。



ナイフで刺されるように鋭く痛み、火で焼かれるように熱く、押さえつけられるように苦しい。




ーなんだ、これ。

ひどく苦しい。





胸の苦しみを我慢して、仰向けに転がって目をつむる彼の元へと歩み寄り、銃口を向ける。




「すみませんね、リンネ君。
これがバーボンとしての僕の仕事なので」


うすら笑みを浮かべて、引き金を引くー。









「遅いっ!」


固くつむっていた目を開いて叫んだ。



バン、と響いた銃弾の音は彼の体に命中しなかった。



しゃがみこんでいる彼に向けて銃口を向ける。





「銃なんて、オレにとってはただの武器にしか思えないね。
だから、人殺しの道具とかは思えないんだよ」


ニヤリと余裕ぶって笑う彼についつい自分まで笑えてきてしまった。


「でも、この状況は変わりませんよ。
相変わらず、あなたが不利だ」



「いいや、お前は遅すぎるんだよ。

お前は、さっさと決断するべきだった」


彼は右手に握っていたナイフを持ちかえたかと思うと、ナイフをこちらへ投げてきた。




月の光で白く輝く刃は、黒々しい拳銃に命中した。


ナイフは自分の後方に。

拳銃は前方へと吹き飛んだ。



自分はナイフを後ろ手で掴み取り、詰め寄る。

彼は拳銃を握り取り、自分に詰め寄る。







お互いの首元には刃と銃口が向けられた。

恋の雨音が響く―3→←恋の雨音が響く―1



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (11 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
142人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:paranoia | 作成日時:2018年5月13日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。