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恋の雨音が響く―1 ページ19

ルナティックナイト―6の続きのお話



良い夜だな、と一人言のようにつぶやくと、彼はアルカイックスマイル(というよりかは恐ろしい笑み)を浮かべた。



月明かりが優しく彼を照らしている。

それと裏腹に、彼の手に握られている拳銃がこれまた恐ろしく感じる。


「ええ。本当に、良い夜ですね」


彼から溢れる“何か”がオレでさえも恐ろしく感じさせられ、いつもの“安室透”ではない。

と判断するのは容易だった。


「安室…じゃないんだよな?
お前、誰?」


フッと挑発するような笑みを浮かべて口を三日月に歪めた彼はゆっくりとその口を開く。


「申し遅れました。
…僕の名前は“バーボン”。
簡潔に言うならば、世界的な犯罪組織の幹部の一人です」


「なぁんだ。オレの予想は大方当たってたな。
“ただのカフェの店員”、“私立探偵”でもないっていうのは」

“まさか、犯罪組織の幹部様とは思ってなかったけど”と付け加えて、オレも笑みを浮かべる。




やることは、一つ。


オレは女の肩を支えていた手を離して、意識のない彼女を横たえる。

みぞおちをナイフの柄で攻撃したから、もうしばらくは目覚めないだろう。


安室改め、バーボンは拳銃を握り直す。



音もなく、オレたちは戦闘を始めた。

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作者名:paranoia | 作成日時:2018年5月13日 21時

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