未来を、生きていこうか―2 (ページ17)

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プロポーズの日―1 ページ17

※時系列設定に違和感を感じるかも知れませんが、ざっくり読んでいただけると幸いです。

6月第1日曜日は、プロポーズの日だということをその特集をしている番組のアナウンサーが声高に言っているのを聞きながら、俺は自宅で事務仕事に明け暮れていた。

その時のアナウンサーの興奮のしようと言ったら、テレビ越しでも分かるくらい興奮していた。

ープロポーズ。

大昔の日本では、男性が女性に名前を聞くことが求婚する、ということもあったらしい。

現代では、男性が女性に指輪を送るのが一般的だ。

…妻と出会って数年。

結婚してからもう少しで3年程だ。

“プロポーズの日特集”が組まれている番組を横目に眺めつつ、ふと、あの時を思い出す。

…俺は、銃で撃たれた。

Aが、泣いているような気がして目を覚ました。

Aの首を掴もうとする男を殴り飛ばした。

彼女の体はボロボロで、端から見ても重症だということが一目見て分かった。

足、脇腹、左腕。

今でも目をつむるだけで思い出す、痛々しい傷。

海の潮風と相まって、ひどく弱々しくも思えた。

ー絶対に、離したらいけない。

ー絶対に、離したくない。

そういう気持ちが高ぶって、ムードも何も考えずに思いの丈をぶつけた。

今思えば、あんな血まみれな状況でするなんて、おかしいにも程がある。
と思えるくらいだ。

「…プロポーズかぁ」

ポツン、とつぶやいた一言は自分以外誰もいない部屋に溶けて消える。

ふと、座っていた椅子から立ち上がって、部屋と部屋を分離する扉を開いた。