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ルナティックナイト―2 ページ12

路地裏に入ってしばらく野良猫と遊んでいたが、案外人懐っこい猫だったようなので、抱き抱えて街の方へとまた歩き出した。









…だが、劇場の方がいつもより騒がしかった。
この劇場は昔からある伝統の劇場らしく、絢爛豪華、雅を形にしたような輝かしい建物だ。

現代でも沢山の人々に慣れ親しまれているらしいが、今夜はいつもより人で賑わっていた。


警察車両が固まり、黒塗りの高級車の回りを人々が取り囲んで何かを警備しているようだった。


今日は何かあったのかと考えると、さっき見たニュース番組を思い出した。







「なんか、偉い人がくるんだったか?」

そう、そうだ。
詳しくは知らないが、音楽団の演奏を聞きにわざわざいらっしゃるらしい。

そのために警備をしているんだろうか。






「のんびり音楽を聞くことすら出来ないなんて、寂しいよなぁ?」


抱きしめていた猫に問いかけるとニャア、と可愛らしく答えた。

猫から視線を上げてみると、何かがうごめいた気配がした。









ー気配がした方に目線だけ動かす。



劇場からさほど遠くはない高級マンションだった。



とろん、と柔らかい光がマンション全体を包み込み、満月から漏れる光ががマンションを隠すベールのようになっていた。









そこからあからさまに、殺気を感じた。



「へぇ…。面白そうじゃん」


抱えていた猫をそっと下ろして建物を睨み付けた。









ーあぁ、殺したい。

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作者名:paranoia | 作成日時:2018年5月13日 21時

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