今日を、生きれるかな【降谷零】

夢幻泡影3:変化 ページ6

あれから毎日、色んな人が来てくれた。

蘭ちゃん、園子ちゃん、コナン君、歩美ちゃんに、元太君、光彦君。
コナン君に知り合いだと紹介してくれた阿笠博士に、哀ちゃんや沖矢さん。

編集者の林田さんや、安室さん、梓さん。



沢山の人が来てくれた。

けれど、私の心にある穴は埋まらなかった。

どうでも、良かった。
ただ、リンネ君にもっと優しく接すれば良かったなどという思いが巡った。






10日間眠り続け、目が覚めて数日後には退院出来た。


入院中警察の人が事情聴取に来たが、なんて答えたかは覚えていない。

けれど、刑事の一人に所持品を見せてもらつ時にリンネ君が使っていたナイフを返された。









…看護婦さん達に笑顔で花束を渡されても、何も感じなかった。




「Aさん！」

と、聞き慣れた声が聞こえた。

此方に駆け寄ってくるのは安室さんだった。


『よう、安室さん。どうしたんだ？こんなところで』



案の定、安室さんは目を見開いた。

「リンネ君、ですか？」

『いや、AAだよ。』

「ですが、口調が…」


目を覚ますしてからはいつもの口調だったけど。
何を思ったのか、私から出てくる口調は彼のものだった。


「…まだ、安静にしていた方が良いでしょう。
家まで送っていきますよ」

綺麗な笑顔を浮かべた目の前の彼。





…が、甘い。


『笑顔。
いつもの安室さんの笑顔と違う。
右の口角が異様に目立つ。
もう少し笑顔の練習したらどうだ？』


ふぅ、と一息つく。

『折角だし、送っていってもらおうか』


今度は挑発する様に私が笑顔を見せた。

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