Chain Ⅲ【幸村精市】 (ページ10)

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ぱあん、と心地よい音がなる。うん、ボールを打つ感覚はしっかり覚えてる。10年近くの積み重ねは、ちゃんとこの身に染み付いていた。

楽しい、楽しい、楽しい。やっぱりテニスはすごく楽しい。本当に今生きていてよかったと思う。諦めないでよかったと思う。どれもこれも、精市くんのおかげだ。

「……うん、」

やっぱり私、この道で生きていきたい。

前々からふんわり、将来の事を考えていた。プロになって、世界を回って、なんて。そのためには、この先どう歩いていこうか。その中の選択肢の1つにそれがあった。

それを選ぶなら、早く準備をしなくちゃいけない。でも、ずっと迷っていた。でも。

「……そろそろ、精市くんの歩く後ろをついてくの、やめなくちゃ」

私は、私なりに。自立しなくちゃ。自分の道を歩かなくちゃ。

精市くんに負けないためには、私なりに、が必要だ。

それなら。

「お父さん、お母さん、話があるの」

わがままだけど、どうか聞いてください。

私、＿＿＿＿＿＿