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＊新テニ最新刊の内容です。ネタバレ無理な方はブラウザバックでお願いします。
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そこから、精市くんの巻き返しが始まった。手塚さんがどんな攻撃をしても、どこに返そうとも、綺麗に股下を抜いていく。
「精市くん、楽しそう……」
今まで見てきた精市くんのテニスは、いつだって冷静沈着で不変のものだった。淡々と返ってきたボールを確実に返すだけの、ある意味一番テニスらしいテニス。
けれど今日はすごく感情を露にして、正直、楽しそうだ。天衣無縫相手には今までは通用しない。もっと、もっと上へ。
精市くんは、殻を破って高みへと登っているんだ。羽ばたいているんだ。
もう、それだけで勝ち負けなんてどうでもよくて、でもやっぱりここまできたら勝って欲しいと言う気持ちで矛盾する。とにかく、ドキドキと鼓動が収まらない。
『ゲーム日本4-5！』
あと、1ゲームで追い付ける。このままなら。でもきっと、手塚さんだってまだ進化する。
そのあと、なんとか1ゲーム取って追い付いた精市くん。しかし、やっぱり手塚さんは強い。攻略を始め、また1ゲーム取られてしまう。
再び、絶対絶命。
「お願い、神様……」
『色々諦めなくてよかった』
そう言った彼の、その表情に涙が出てきた。いつだって、精市くんのテニスは諦めないテニス。負けない、精市くんはきっと。
「0-15！」
すごく、考えられたプレー。コート上に針詰められた緊張感が画面越しにも伝わってくる。
頑張れ、……
「＿＿ゲーム&マッチ ウォンバイ手塚！！」
結果、そのギリギリの試合に精市くんは負けてしまった。敗因はきっと、きっと、手塚くんのプロになる覚悟がそれだけ強かった事だ。
もう、いろんな感情で涙が溢れて溢れて、ぐちゃぐちゃだ。
「……お疲れ様、精市くん」
画面に映った精市くんの表情は、とても悔しそうで、でもどこか、いつかくれたあの花のように希望に満ちていて。
きっと、精市くんはいつか、リベンジを果たしてくれるって、私、信じてるよ。とにかく、今日はお疲れ様。
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