Chain Ⅲ【幸村精市】 (ページ16)

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『勝ったよ』

そのメッセージと共に送られてきたのは、ピースする精市くんとちょっと写真苦手そうな顔をしてぎこちないピースをする弦一郎くんの写真。きっと精市くんに半強制的に取らされたんだろう。

あとで弦一郎くんの方にも送っておこう、と思いながら『お疲れ様』と『おめでとう』を送信した。

『聞いてよ、真田ってばアウェーの空気を君が代歌って吹き飛ばしたんだよ？』
『え、うそ。強いね』
『でしょ？いきなりすぎて俺もポカーンってしちゃった。でも真田らしいよね、おかげですっかり空気も落ちついたし』

オーストラリアのコールの飛び交う中、弦一郎くん一人で君が代を熱唱したと思うと少し笑ってしまう。至って真面目なんだと思うけれど。

『それでね、また1-5で負けそうになったんだけど、あの時の事を思い出して、なんとか巻き返したんだ』
『へえ、ますます見たかったな』

予選じゃなかったら見れたのにな、と思いながら。予選もテレビ放送してくれたらいいのに。

あとは不二くんと仁王くんにイリュージョンした跡部さんって人がダブルスで勝ち、全国決勝で時間稼ぎの勝負をした四天宝寺のルーキーくんが相手の棄権で勝ったらしい。

仁王くんにイリュージョン、が引っ掛かるけど。仁王くん以外にもあんな事出来る人がいるのかな、世界は広いなぁ。

『あとはスイス戦次第かな。俺は出ないから、仲間を応援する他ないよ』
『勝てるといいね』

スイスと言えば世界2位の強敵。なかなか、厳しいとは思うけれど。

『ほんと、世界には知らないことばかりで楽しいよ』
『ふふ、精市くんが楽しそうで私も楽しい』

それからも少し、会話を続けてじゃあ、おやすみ、と話が切れる。

さて、私もテニスをしたり英語の勉強したりで疲れたし、体を休ませなきゃ。