Chain Ⅲ【幸村精市】 (ページ13)

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それから、数週間後。机に向かって英語の勉強をしていると、『今電話してもいいかい？』とメッセージが届いた。あれからも何度か連絡しているし、いつもと同じだと思って『いいよ』と普通に返した。

でも今日は、いつもと違った。まず、ビデオ通話じゃなくて普通の電話だった。それから、やけに静か。不二くんや白石くんがいない感じから、部屋ではなさそうだ。

『……もしもし、』

精市くんの、落ち着いた声。

「今日は不二くんも白石くんもいないんだね」
『今日は2人で話したくてね、』

俺一人じゃ不満かい？なんてわかってるはずなのに意地悪に言われたから、そんなわけない、と返す。

『本題なんだけど。……Aは、U17世界大会を知っているかい？』
「ああ、なんとなく。もうすぐ、だったっけ」

国のトップの高校生達の団体戦、みたいなものだったと認識している。確か本戦からはテレビでもやっていたはず。

『今年は特例でね。……俺たち中学生も出られることになったんだ』
「えっ」
『立海からは、俺、真田、丸井、仁王、赤也がメンバーに選ばれた』

そんな訳で、世界を見てくるよ、と彼は私に告げた。凄い事、なんだと思う。ますます、置いてかれてしまいそうだ。

出来ることなら生で見に行きたいけれど、私には生憎そんな時間がない。

『……勝ってきてね』
「もちろん、そのつもりだよ」

日本から、遠い場所から応援することしか出来ないけれど。ここで、精一杯精市くんの活躍を祈ってるから。