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藤ヶ谷さんと連絡先を交換した。
藤ヶ谷さんはわたしが道の角を曲がるまでずっと見送ってくれた。
ほんとにすごいな、あの人。
なんて、子供ながらに感心しながら家へと足を進める。
途中、ピコンッと通知音が鳴った。
藤ヶ谷さんだ。
>藤ヶ谷です。追加しました。よろしくね。
って可愛い猫のスタンプ付きで。
藤ヶ谷さんってスタンプ使うんだ。
しかも猫って。意外。これがギャップってやつ?
立ち止まってわたしも返信をする。
>わざわざありがとうございます。わたしも追加しました。
スタンプは・・・・・・やめとこう。キャラじゃない。
この文淡白すぎるかな?もうちょっと女子高生らしい文面に変えた方がいい?
迷ったけどそのまま送信した。
するとすぐについた既読。
>季節の変わり目の風邪は厄介だから気を付けてね
わたしがマスクしてたの、藤ヶ谷さん風邪だと思ったんだ。
まあ、あざ隠しなんて誰も思わないか。
この季節の夜はまだ冷える。
藤ヶ谷さんの優しさに胸がじーんと温かくなった。
ありがとうございます、とお礼の言葉を返信して携帯をしまった。
藤ヶ谷さんが言ってた、
“玉を変えてあげて”
って、あれどういう意味だろう?
いつかは分かるって言われても、なんのことかよく分からないし、
わたしには玉森先生を変える力なんてない。
どこをどう変えればいいの?
そもそもどうしてわたしにそんなこと言ったんだろう。
もう既に藤ヶ谷さんに相談したい気分なんだけど。
だけど、玉森先生のことで頭がいっぱいな女子高生って思われたくないから相談はしない。
玉森先生のことで頭がいっぱいなのはうちの学校の女子生徒でしょ。
あの子らとわたしは一緒じゃない。
わたしは違うもん。
違う。わたしは違う。
玉森先生を好きなんて嘘だ。
やっぱり藤ヶ谷さんの勘違いだよ。
“(人1)ちゃんは玉に恋をしてるんだよ”
“玉の笑顔を見ると苦しくなって、見たいけど見たくないって思っちゃうんでしょ?”
“それが恋をするってことなんだよ”
違わない。やっぱり違わないよ。
わたし、玉森先生のことを好きになっちゃったんだ。
絶対に好きになってはいけない人を。
好きに。
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作者名:にこまる | 作成日時:2018年7月16日 1時