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「あれ、(人1)ちゃん?」





わたしが歩き出してないことに気付いて戻ってきてくれた藤ヶ谷さん。





「大丈夫か?」





目の前に立ち、少しかがみながらわたしの頭に手をポンッと置いた。

そして優しく微笑む。






「初めての感情に気付いちゃったもんね、そうなるのは仕方ないよ。どっか座る?」




藤ヶ谷さんの気遣いに首を振る。




「じゃあ、歩こう」






また赤になってしまった信号が青になるのを待つ。






「ひとつだけ言っておくね」




藤ヶ谷さんの声に顔を上げると、藤ヶ谷さんは正面を向いたまま。





「玉を好きになるのはやめた方がいい」



「えっ、」



「玉は(人1)ちゃんの気持ちに応えてはくれないよ」





そう言う表情はどこか苦しそう。





「・・・大丈夫です。分かってます。わたし先生にそこまで求めてません。それに先生多分彼女いるし」



「えっ、?」



「今日、綾って人から沢山連絡来てたの、わたし知ってるんです。今さっき玉森先生がどっか行ったのだって、きっと綾さんに会いに行ったんだと思います」





チラッと藤ヶ谷さんを見ると、藤ヶ谷さんもチラッとこっちを見ていた。

きっと当たってるんだ。藤ヶ谷さんは玉森先生が誰に会いに行ったのか知ってるもんね。






「彼女がいるって玉から聞いたの?」



「聞いてません。玉森先生、そういうことわたしには絶対言わないから」



「そっか、いいの?それで」



「え、?」



「(人1)ちゃんなら、玉を変えれると思う」



「変える?」






青になった信号。

無言で歩き出した藤ヶ谷さんに慌てて付いていく。





「変えるってどういうことですか?」



「玉が(人1)ちゃんに言ってないことは俺の口からは言えない。だけどいつかは知ると思う」



「難しい、」



「はははっ(笑)大丈夫、いつか絶対分かるから。
だから玉を変えてあげて」





なんて言えばいいの?

なにを変えるの?

なにも知らないのにどうすればいいの?




もう色々あって頭がパンクしそう。







「ここで大丈夫です・・・」



「え、近いの?」



「ほんとはもうちょい先。だけど、ここでいいです。初対面の方にまで迷惑かけるほど子供じゃない・・・と思ってます、、」



「・・・分かった。(人1)ちゃん、連絡先交換しよっか。何かあったら連絡して。なんでも相談乗るよ」





大人は嫌いだけど、この人も信じていい人。

直感的に思った。







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作者名:にこまる | 作成日時:2018年7月16日 1時

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