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「なに」
「なにじゃねえよ、こっちがなにだわ」
電話口から聞こえる先生の声は不機嫌モード全開って感じ。
「なに勝手に降りてんだよ。誰もいいなんて言ってないだろ。LINEもわかりやすく無視しやがって」
いや、LINEは無視じゃないよ!
仕組みがイマイチよく分かってないだけ!
って心の中で抵抗する。
「で、なんで降りたの。てか今どこ?迎え行くから」
「え、先生今どこ?」
自分にされた質問を先に先生に質問する。
だって今先生は電車の中でしょ?どうやって迎えに来るのよ。
「お前が降りた次の駅で降りたわ、ぼけ」
「え、なんで?」
「なんで?お前が降りたからに決まってんだろ、ばかか」
ぼけだのばかだのすごい言われよう。
「てか俺の質問にも答えろよ。お前は今どこにいんの?」
「言ったら迎えに来るの?」
「うん、行く。だから早く言えって」
「じゃあ言わない」
「はあ?」
今のわたしはすごく面倒くさい。
先生が一番嫌いそうなタイプ。
「何言ってんのお前」
ほら、口調がどんどん冷たくなってる。
「いいって迎えになんて来なくて。先生も疲れてるでしょ?」
今日はもう先生には会いたくない。
電車の中で見た先生の携帯が今日初めてのものだったらまだ違ったかもしれない。
準備室で見た「綾」って名前を電車の中で見てなかったら、まだ我慢してたと思う。
でも、二度も見ちゃって、何回もかかってるって知っちゃったから。
もう今日は先生と一緒にはいられないよ。
だって、気にしちゃうもん。
その人が誰なのかも、電話の内容がなんなのかも。
「わたしと話してるけど先生、電話に出たいのかな」とか、
「電話の内容が気になってわたしと話すどころじゃないだろうなあ」とか、
色んなことを考えてしまう。
今日のわたしはすごく面倒くさいから。
お互いの為に今日はもう会わないほうがいい。
わざわざ会う意味なんてわたしにはないし。
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作者名:にこまる | 作成日時:2018年7月16日 1時