わたしと先生 (ページ23)

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机の上のものを急いで鞄に詰めながら、部屋を出ようとすると、

｢ちょっと待って｣

腕を掴まれた。

だけど後ろは振り向けない。流石に怒ってる？

｢ごめん｣

聞こえた言葉は意外なもので、

何にごめんなの？そのごめんはわたしの言ったことを認めるってこと？

色んな疑問が頭をいっぱいにする。

｢ごめん、違うよ。そんな意味で言ったんじゃない｣

腕を掴む力とは対照的に、そのトーンはすごく優しい。

｢ただ単に俺が心配だから。(人1)は女の子なんだし、もしもの事があったら嫌だから。だから送って行くって言ったの｣

｢･･･｣

｢なるべく(人1)をひとりにしたくない。今日(人1)の本当の姿を知って余計思った。
(人1)は知らないうちに色んなこと溜め込んでんだなって。ひとりにしたら壊れそうで怖い｣

掴まれた腕を引かれ先生と向き合う。

｢そんな難しい顔すんなよ(笑)
変に勘違いさせてごめん。(人1)にはちゃんと言わなきゃだめだったな、(人1)がひねくれてんの忘れてた(笑)｣

わたしのほっぺをつまみ、プニプニさせながら言う。

｢いはいんへふへろ｣(痛いんですけど)

｢んははっ、なんだその間抜けな声(笑)｣

その声を出させてるのは誰よ。

思うこととは裏腹に心は温かかった。

わたしのことを心配してくれる人がいる。

わたしのことを考えてくれる人がいる。

わたしのことを理解しようとしてくれる人がいる。

それだけですごく嬉しいんだ、って不思議な気持ちになった。

｢よし、じゃあ帰ろ｣

ほっぺから離れた先生の手。

なんでだろう。
ちょっとだけ、寂しいって思ってしまった。

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