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しばらくして先生が校内放送で呼ばれて一旦この部屋を出て行った。




シーンと静まり返るこの部屋。


先生がいた時も静かだったのに。

今はなんかつまんない。



だけど、進んでなかったら課題増やすって脅されたから仕方なくシャーペンを握る。






すると突然携帯が鳴った。



・・・先生のだ。すぐに切れるけどまたすぐかかってくる。



いけないと分かってはいるけど、誰からなのか気になって見てみると、そこには「綾」の文字。



女の人だ。・・・彼女?




そう言えば新学期、先生が自己紹介した時のクラスの女子の「彼女いますか?」の質問には答えてなかった。


否定も肯定もしてないってことはいる可能性もあるんだ。


その、「綾」って人は先生の色んな表情を知っているのかな?





そんな風に考えていると先生が戻って来た。






「おかえり。何だったの?」



「サッカー部のことでちょっとな。そんなことより進んだのか?」



「これがわたしの限界」



「限界って、俺が行って3問しか解いてないの?」



「分からないものはしょうがないでしょ。
あ、ていうか先生今さっき携帯鳴ってたよ」



「え、誰から?」



「それは、・・・分かんなかったけど」





咄嗟に嘘をついた。
本当のことなんて言えるわけないし。






携帯を手に取り確認すると、隣の部屋に行き折り返しの電話をしてるみたいだった。






「・・・うん、ごめん、、・・・うん、わかってる。
もうちょいしたら行くから・・・はい、ん、じゃあね」




先生は声を潜めてるかもしれないけど丸聞こえ。

そんなことも知らず先生はなに食わぬ顔で戻って来た。






「彼女?」



「プライベートなことには答えないっつったじゃん」






なにそれ。今までわたしの前では仕事もプライベートも関係なかったくせに。
都合のいい時だけ教師と生徒で分けようとして。
ほんと大人ってずるい。


前にわたしに言ったことと違うし。






「わたしは特別なんじゃなかったの?」





そう言うと、ソファーに横になるように座った先生はチラッとわたしを見ては、






「お前ってほんと生意気」






って目を瞑りながら嬉しそうな顔をする。





そんな先生を見て、今度は胸の奥がモヤッとするんじゃなくて、胸の高鳴りを感じた。





ねえ先生。次はどんな表情を見せてくれるの?




わたしの頭の中は社会なんてもう忘れていて、先生に対する好奇心でいっぱいだった。






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作者名:にこまる | 作成日時:2018年7月16日 1時

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