私を頂上へ連れてって【日プ無印】 (ページ10)

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「…あの、…蓮くんがリーダーだしセンターだけど、全部任せっきりにするのは良くないと思うので、私達がリーダーを支えるくらいの気持ちで頑張りましょう」

そう言うと、皆頷いてくれた。

川尻「振り入れしようか」

蓮くんの合図で振り入れを始める。不安になってしまうくらい順調に進んでいく練習。

「ここが難しいんだけど…」
川尻「ここはね、こうするといいかな」
「…ありがとうございます！」

分からない振りも教えて貰いながら、蓮くんが考えてくれた振りを身体に覚えさせる。

そして迎えたトレーナーの先生の授業。覚えた振りを指先まで意識しながら踊る。

曲が終わると、先生からの言葉が。それはとても厳しいものだった。

WARNER「全体的に同じテンションで飽きてきちゃうんだよね。サビの部分もうちょっと詰められる？」
川尻「はい」

飽きてしまう。その言葉はあまりに残酷だった。何回も見たくなるパフォーマンスを見せたい私たちからすると、飽きてしまうという言葉はかなり刺さった。

私も何か振りを提案出来ないかと、授業が終わってから考える。

カメラさんがこちらに来て今の心境を聞かれる。

「…蓮くんがいるから大丈夫かなって思ってたけど、今日の授業を通して私も何か振り付けの提案出来たりしないかなって思ってました。任せっきりになるのだけは避けたいので」

その日の練習が終わり、今日も深夜練に向かう。

どんなに考えても考えても、新しい振りの提案は出来なかった。これが差だし、どんなに頑張っても仕方のないことだけど悔しかった。

いつも話を聞いてくれた景瑚くんは別のチームで頑張っているから、迷惑はかけられない。どうしようかと頭を悩ませていると、誰かが顔を出した。

瀧澤「…あの、Aちゃん！お願いがあるんですけど、歌を教えてくれませんか」

その正体は瀧澤くんだった。彼はダンス志望なのにボーカルになってしまった。

「うん、もちろん。…タマシイレボリューションか…」
瀧澤「高い音が出なくて、コツを聞きたいと思って」
「あー、これか。喉じゃなくてお腹から声出すと出るよ」

瀧澤「〜♪」
「あー、えっと、…ちょっとごめんね」

お腹に手を当てて、腹式呼吸の練習をする。この時間が、私の悩んでいたことを吹き飛ばしてくれた。

瀧澤「今日は遅いので、戻りましょ」
「…ありがとう」
瀧澤「え？こっちのセリフですよ」