私を頂上へ連れてって【日プ無印】 (ページ45)

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デビュー評価当日。本番直前の私は、いつにも増して緊張していた。

「…あっ、汐恩くん！」
鶴房「A、いよいよやな」
「…はい、…あの、汐恩くんにお願いがあって来たんですけど」
鶴房「いつものやつな。任しとき」

最初の時より、信頼して預けられるようになった背中を汐恩くんに向ける。気合いを入れるために叩いてもらう。相変わらず痛いけど、今日はこれくらいがちょうどいい気がした。

「ありがとうございます！…頑張りましょうね」
鶴房「…見とくわ、Aのこと」

私と汐恩くんはYOUNGとグラマスで楽曲が違うから一緒に練習は出来なかったけど成功を祈るしかない。

ファイナル前なのにピリついた空気感を感じさせないくらい賑やかな舞台裏。デビューはしたいけど、まだずっと、ここにいたい気持ちもある。

「本田くん」
本田「お、Aじゃん。AもYOUNG踊る？」
「踊りたいけど髪の毛崩しちゃうのでやめときます」
本田「怒られるもんな」
「これめっちゃ時間かかるんですよ」

今日は編み込みでツインテールにしている。固めているので解くのにもやり直すのにも時間がかかるから崩せないのだ。

本田「まー頑張ろうな」
「はい、本田くんのYOUNG楽しみにしてますね」
本田「Aのグラマスも超楽しみだわ」
「踊ります？グラマス」
本田「………遠慮しときます」

「……景瑚くん、緊張しすぎて口から心臓出てきそうなんですけど」
景瑚「……あかんなそれは」
「え？本当に思ってます？それ」
景瑚「思ってる思ってる。Aなら大丈夫。たくさん練習してきたじゃん」

目を見て、そう言ってくれる景瑚くん。

景瑚「俺らがAの頑張りを一番知ってるから。だから大丈夫。俺らが保証する」
「……私は、デビューしたいです」

この気持ちを、会場にいる人にもテレビの前で見てくれている人にも届けないといけない。楽しむ気持ちを忘れずに、皆の太陽のような存在になれるように。

「…うん、なんか少し緊張も和らいだ気がします。ありがとうございます、景瑚くん」
景瑚「ほんと？良かった。デビューしようね」
「……絶対ですからね！」

絶対に、掴んでみせる。アイドル界のトップになるために、まずはデビューしてみせるんだ。