第3回順位発表式 ページ37
それは、突然のことだった。
ヒチョン「A〜？いますか？」
「ヒチョンくん！どうしたんですか？」
ヒチョン「これ、あげます」
「え？」
そう言われて渡されたのは、ヒチョンくんの腕時計。最初のレベル分けのときに、私が可愛いと言ったものだった。
「…でも、急にどうして…？」
ヒチョン「あげたくなったんです。僕の大切なものだから、Aに」
「本当にいいんですか？受け取っても」
ヒチョン「もちろん。…忘れないでくださいね」
「…それって、どういう…」
そのままの意味ですよ、と笑ったヒチョンさんは私の元から離れてどこかへ行ってしまった。明日にはここを出て、順位発表式まで少し時間が空く。
何か、嫌な予感がした。……その予感は、的中してしまうことになる。
.
いよいよ第3回目の順位発表式がやってきた。その前に、私たちはあることを聞かされる。
「……辞退……？」
ヒチョンくんが、このプデュを辞退するとの報告だった。あまりにも急で、目の前が真っ暗になってしまう感覚だった。
でも、その報告を聞いて全てが繋がった。ヒチョンくんがわざわざ私に大切にしていた腕時計をくれたことも、忘れないでと言ったことも。
なんで気づかなかったんだろう。そんな思いでいっぱいになった私は、ヒチョンくんから貰った腕時計をぎゅっと握りしめた。
.
「…みんなの太陽になりたい！flatこと平瀬Aです！」
「普通」を装って舞台に立つ。これから、順位発表が行われるんだ。今回の順位発表で、ファイナルに進出できるかどうかが決まる。
最初に呼ばれたのは、床波くんだった。それを皮切りに、どんどん呼ばれていく練習生。
本田くんに、景瑚くんももう呼ばれてしまった。前回のわたしの順位の椅子にはもう人が座っている。もう、呼ばれないんじゃないか。そう思っていた。
デビュー圏内の発表に差し掛かった。ここで呼ばれなければ、私にファイナルへの切符はもうないと思った方がいいだろう。
矢部「続いては、デビュー圏内にギリギリ入った12位の発表です。……コンセプトバトルでは高い壁を乗り越え、今回初めてデビュー圏内に入った練習生です」
ああ、どうか。呼ばれてください。
矢部「…平瀬A」
「……！」
白岩「おめでとう」
鶴房「A、おめでとう」
そう言ってくれる練習生たちにお礼を言って、前に出る。
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想来(プロフ) - 欅坂時代からのオタク兼JAMの私からしたら最高すぎるお話です、、！ (12月26日 13時) (
レス) @page7 id: 5b3cd15d7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：てん | 作成日時：2023年12月25日 0時
