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景瑚くんの言葉に気付かされた。私はきっと、勝つことだけを考えてしまっていた。だから楽しそうじゃないって先生に言われるのも当然だし、国プの皆さんにそう思われるのも当たり前だ。
「…景瑚くん、ありがとうございます」
景瑚「…ううん。…俺も頑張らなきゃ」
「絶対勝ちましょう。見返してやるんだもん」
景瑚「あははっ、その調子。俺Aが元気じゃないと俺も元気出ない」
そう言ってくれる景瑚くんにお礼を言って、ハピメリの皆が練習している部屋に戻る。
「…勝手に抜け出しちゃってごめんなさい」
浦野「誰も怒ってないよ。…だから練習しよ!」
明るく私のことを迎えてくれた皆。その優しさが痛いくらいで、少しだけ泣きそうになった。
白岩「…俺はAの声が好きだよ」
「…瑠姫くん…」
この前みたいに、誰にも聞こえないようにそんなことを伝えてくれた瑠姫くん。また泣きそうになったのをグッと堪えて、ちゃんとお礼を伝えた。
「秀太くん、歌聞いてもらってもいいですか?」
浦野「もちろん。歌ってみて!」
「〜♪」
景瑚くんにアドバイスしてもらった通り、「これから成長するから見てて!」って、そんな気持ちを込めて歌った。
浦野「やっぱ上手だね。…なんか、昨日より気持ちがちゃんとこもってて聞いててワクワクする」
「ふふ、ありがとうございます!」
そう言ってもらえたのが嬉しくて、練習にも気持ちが入った。
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いよいよリハの日になった。瑠姫くんの表情も、床波くんのダンスも、私たちの歌も。昨日より絶対に良くなってる。私たちなら大丈夫だと思っていた。
でもリハが終わって、私たちはたくさんのことを指摘された。明日に向けて最終調整を行うためだからそれはいいことだけどかなり焦る。
このままで本当に大丈夫なのだろうか。
安倉「平瀬さん、歌えるようになったね。…ただここの音が決まりにくいからもっと……」
「ありがとうございます…!頑張ります」
アドバイスをもらい、リハの時間が終わっても先生たちはつきっきりで一緒に練習してくれた。
明日が本番。絶対にステージを成功させて、お客さん皆が楽しかったと思えるようなパフォーマンスをしたい。
明日に向けて最終調整をしている私たちは、もちろん焦りはあるものの、いつもよりもずっとずっと楽しそうだった。
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想来(プロフ) - 欅坂時代からのオタク兼JAMの私からしたら最高すぎるお話です、、! (12月26日 13時) (レス) @page7 id: 5b3cd15d7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:てん | 作成日時:2023年12月25日 0時