ちょっとだけ特別な関係【LC】【ネツァク】【男主】 (ページ3)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:1,000 hit

2話ページ3

ネツァク視点

仕事終わり、というよりも飽きて出てきたに近い。
誰もいないだろう、と軽い気持ちで出てきたんだが……
俺の他に酔っ払いが一人……

『んぁ…ネツァクさまぁ…？』

いつもの俺より酷い壊れっぷりに酔いが覚めた。
安全チームのA。蒼星とかの作業を任されている奴だ。

「うちの部署の…Aだな？そんな量のエンケファリンなんてどこから手に入れたんだ…」

そう、俺はセフィラ。機械の身体から溢れるほどのエンケファリンも簡単に手に入れられる。
こいつはただの一般職員。そんな量…と考えていたら、回らない呂律で返事が返ってくる。

『いつも少なめにして一気に飲むんれすぅ！』

……ああ、そうか。そういうことか。
こいつは狂っている。最初の方からいたから、きっと仲間の死にも慣れてしまったんだ。だから毎日全部摂取しなくても生きていける。

『ネツァクさまはぁ、さっきまで話してた人間をぶん殴ったことありますぅ？ねぇですよねぇ、そりゃぁそうだw』

諦めたような悲しい笑い。
俺はその心情を知っている。思わず隣に行くと、そいつは少し嬉しそうに笑った。

『ふへへぇ、俺今日も頑張ったんれすよぉ？鎮圧もぉ、試練もぉ、仲間を殺すのもぉ！パニックになったらすごいんれすよ？倒れるまで殴るんれす、俺はやだなぁ。』

知ってましたぁ？とまるで子供みたいに笑う。
エンケファリンで蕩けた赤い顔が、純粋な瞳が、こちらへ向いている。

『俺はパニック起こしたら絶対死んでやるんれす。首の捻り教えてもらったしぃ』

職員にとっては明日は我が身だ。
俺や他のセフィラや管理人なんかには届きやしない覚悟を持っているんだ。
情は持ってはいけない。何もできないことが苦しくなるから。

『……ネツァクさまぁ…かみ、きれぇれすねぇ…』

……認知フィルターはかかっていないはずだ。
エンケファリンの幻覚作用か。

「…もう部屋に戻ったらどうだ？」

『そーれすね、もろるます…』

酷くなる前に戻ることを勧めたが、もう遅かったらしくAはふらりと立ち上がるとその場で崩れた。

『うへ、たてやせん。ふひ』

自分が立てない事実に楽しそうに笑うと、眠たそうに横たる。
俺も普段こんな感じなのか…？
……少し、エンケファリン控えようかな…

「……あんまり動くなよ？」

この体では肩を貸すことはできない。
お姫様抱っこと呼ばれる持ち上げ方をして部屋まで連れて行ってやった。

どうか、今だけは幸せでありますように。