きみを好きになって～S・O～２ (ページ39)

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その写真週刊誌は怖くて買えなかった。

ネットでも智くんのことは広がっていたから、ドキドキしながら検索して大体のことは知ったけど。

それにしても智くんと連絡が取れない。

メールもしてみたし、普段はかけない電話も出られそうな時間を選んでかけてみたけど、繋がらない。

智くんの家には必ず連絡とってから行ってたから、行くのは躊躇われる。

こうやってみると、智くんとは携帯だけで繋がっていたんだって思い知らされた。

前もそうだった。

元彼と連絡が取りづらくなって、会う回数が減って、いきなり他に好きな子が出来たって言われたんだ。

また同じ・・・。
恐れていたことが起きたのかもしれない・・・。
でも何で連絡くれないんだろう。

智くんに裏切られたとは思いたくないけど、マイナス思考がフル回転してる。

悲しいはずなのに、不思議と涙は出なかった。

いつものように会社に行って、典子に悟られないように仮面をかぶって仕事して、終わったら買い物して帰る。

なるべく智くんのことは考えないようにして料理をしてみたけど、食欲なんてあるはずもなく作ったものを目の前にして、持て余してしまう。

さて、この料理、どうしよう・・・。
明日までとっておくのはいいけど、明日食べられるかな・・・。

そんなことを考えていたら、インターホンが鳴ってハッとする。

「柚木Aさんのお宅ですか？
智くんの・・・友人の櫻井といいます。」

「えっ？・・・」

それはよく聞いている声。

「開けてもらえますか？」

「は、はい。」

何で櫻井くんがうちに来るの？
秘密にしてって頼んだのに、何で？
何で智くんじゃなくて櫻井くんが来るんだろう？

頭の中は混乱するばかりだ・・・。

玄関のドアを恐るおそる開けると、帽子をかぶった櫻井くんが立っていた。