きみを好きになって～S・O～２ (ページ12)

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智くんの家に行く時には2日分の買い物をして、出来るだけ外を出歩かないことにした。

料理が苦手で手抜きばかりでレパートリーも少ないけど、食べてもらうならおいしいって思ってほしい。

それでも手の込んだ物なんて作れないから暗くなってから始めても、智くんが帰って来るまで充分間に合ってしまって、ソファーの下に座り込んだ。

智くんの彼女になったという実感がないまま、毎日が過ぎていく。

ふたりでいる時は何でもないのに、ひとりでいると本当かどうか心配になってしまって堂々巡り。

自分の悪い癖にこんなに嫌悪感を抱いたのは初めてかも。

今までは、諦めが先に立っていたからね。

ごめんね智くん、こんな後ろ向きな考えばかりで。

「・・・。起きて、A。」

智くんの声と共に身体を揺すられる。

前にもあったなぁ、こんなこと・・・

なんて思いながら、目を開ける。

違うのはさほど驚かないことと、身体を動かせないこと。

「どこで寝てるの？
んふふ。」

ソファーとテーブルの間で寝ていたらしく、智くんに引っ張ってもらわないと起き上がれない。

「・・・お帰りなさい。」

「ただいま。
なんかいい眺めぇ。」

智くんがテーブルをずらして空間を作って、そこに手をついた。

いわゆる壁ドンならぬ床ドン状態。

智くんの顔が近づいてくる。

どうしよう、胸の高鳴りが止まらない・・・。

「なんで、泣いてたの？」

智くんが眉をひそめて私の頬をさわった。

「えっ？」

何を言ってるのかわからないまま、自分の頬をさわる。

「あっ・・・。」

いつ涙を流したのか、記憶にない。

考えられるのは、寝ている間すなわち夢の中。

心配そうに見ている智くんに

「夢見てたみたい。」

安心させてあげないとね・・・。