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「で、泣いてたのは何で？」
くつろいだソファーの下、向かい合って智くんが入れてくれたコーヒーを飲む。
どうやら夢で終わらせてはくれないみたい・・・。
「・・・いやぁ、別に・・・。」
咄嗟の言い訳が出来ないままごまかそうとすると、マグカップをテーブルに置いた智くんが私と向き合うように座り直した。
「そういうの、やめよ。」
「え？」
「おいらの仕事柄、なかなかゆっくり会えないんだよ。
だからなんか言いたいこととか心配なこととかあったら、ちゃんと言ってよ。
マイナス思考なんだろ？」
「・・・智くん・・・。」
「じゃないと、溜めこんでいつか爆発するよ？」
私の欠点を受け入れようとしてくれてることに涙が出そうになる。
でもね、それでも言えないことはあるんだよ。
それは智くんの仕事を否定するようなことだから、智くんはきっと苦しむ。
それなら、付き合わなければいいって典子なら言いそうだけど、私だって頭ではわかっているけど、もう遅いみたい。
智くんとの恋愛にマイナス思考ではあっても、もう戻れないよ。
こうして悩みながらも智くんが好きって気持ちを抱きしめていくんだ。
「まだまだ・・・話し合わなきゃいけないことが・・・沢山あるみたい。
結論出すの・・・早かったのかなって・・・思って・・・。」
これだって嘘じゃなく思っていたこと。
私が智くんを好きだって気持ちを抑えきれなかったから・・・。
「そんなことない。
これからでも遅くないから、ひとつひとつ話しあお？」
「・・・面倒くさいって・・・思わないの？
こんな彼女・・・初めてでしょ？」
「ん？・・・でもそれがAだからさ。
Aのいいとこ、おいらちゃんと知ってるからさ。」
ドアップの智くんはまるで雑誌の中から抜け出してきたような笑顔だ。
反則だよ。
「・・・お願いがあるんだけど・・・。」
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作者名：Fg | 作成日時：2014年7月10日 10時
