哀しいくらいきみが好きだから(S.O) (ページ20)

今日:15 hit、昨日:6 hit、合計:164,855 hit

20 ページ20

送ったメッセージに既読はなかなかつかなくて、もうすぐ休み時間も終わってしまうから諦めた。

取りあえず、いいのかなぁって思いながら電話番号を登録する。

もう終わりじゃないの？

それにしても、二宮くんにあんなトゲのある言い方されるとキツイ。

彼にしてみれば、２人ともケガをしたのに私ばっかり優遇されてるって感じたのかも。

それならそれで、本当のことを聞きたい。

呼ばれたって言ってたし・・・仕事に入っちゃったのかも・・・。

こんなに残念がってるって・・・何か私・・・大野くんともっと話したいみたいじゃない？
何やってんの？
そんなこと・・・あの大野くんが知ったら笑うにきまってる
あくまで私は、ぶつかってケガをしてしまった相手
完治するまで手を貸してくれただけ・・・

期待しかけて慌てて心にブレーキをかけた。

ブレーキをかける意味は考えないようにした。

視線を外したら、とたんに震えるスマホ。

慌てて見ると渉くんで、溜息が出た。

『捻挫治った？
明日会わない？』

嫌いなわけじゃない。

小学校から中学校までほとんどが同じクラス。

偶然にも高校も同じで・・・またもや同じクラス。

つかず離れず付き合って来た、一番仲のいい男友達だったはず。

社会人になるとそういう関係って無理なのかしら・・・。

近過ぎた？
それとも私が鈍感過ぎた？

『いいわよ』

断る理由は思いつかなかった。

帰りは電車で帰って来た。

帰りのラッシュに耐えられるのか、人の波に乗ることが出来るのかちょっと心配だったけど、無事に部屋までたどり着くことが出来てひと安心。

お風呂に入ってのんびりしていると、今日２回目の電話が鳴った。

画面を見ると今日登録したばかりの大野くんで、胸が跳ねる。

「はい・・・。」

「あ・・・さっきはごめんね。
気にしないでって言っても・・・無理か。」

「・・・無理です。
何で・・・言ってくれなかったんですか？」

「・・・こっちがぶつかったんだし・・・捻挫の方が症状としちゃぁ重いでしょ？
おれは歩けるんだし。」

仕方ないって感じで大野くんが言う。

「でも・・・仕事に差し障り・・・。」

「だぁいじょーぶ。
ちょっと違和感感じただけだから。
この話はもうおしまい。」

耳元で囁かれる声にクラクラしてしまいそうだ。