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戮力協心 ページ7

──全員の力を結集し、一致協力して物事に取り組むこと。



「ヤ、ヤベェぞ! 命綱が教官の首に!!」

松田が降谷に殴りかかろうとしたその時。天井からバキ、と大きな音を立てた後、作業員の男が重力に従い落ちていく。咄嗟に横に居た鬼塚が安全柵から身を乗り出し、作業員の男を抱えようとした。

だが、作業員の男をその両手に収めたと思えば、落下の勢いで余っていた命綱が鬼塚の首に絡まってしまう。鬼塚の首を絞めながら、鬼塚と作業員の男は射撃場の空中にぶらりと垂れ下がった。

「落下した作業員、気絶してんじゃね?」
「屋根に登って綱を切るしか」
「そんな時間ないし、また踏み外したらどうすんだよ!?」

「おい、お前ら…
 やる事は、分かってるよな?」

生徒達がざわざわと騒ぎ出す中、冷静に周りにいた五人に問いかける伊達。

「拳銃」
「弾」
「射撃」
「私は連絡」
「俺は土台」
「じゃあオレは土台の上のつっかえ棒かな?」
「オウよ! んじゃ、野郎共…
 行くぞ!!」

それぞれの役割を口に出し、班長の一声でそれぞれに散った。



「諸伏!」

伊達がその場で腰を沈め、両手を下で器のように組んで諸伏の足を待つ。諸伏の左足が伊達の両手に乗り、全身を使って諸伏を上げた。伊達の肩の上に登った諸伏が、ぶら下がっている作業員の男を下から支えるように両腕で持ち支える。驚いた鬼塚が諸伏を見やった。

「これで少しは楽になったはず…、
 すぐに仲間が、助けますから…!」
「それまで、くたばんないでくださいよ!」



伊達と諸伏の一連を見た降谷は、後ろに居る松田に「どれくらいだ?」と問いかけ視線を向けた。視線は組み立て中の拳銃のまま、松田はその質問の意図に疑問符をうかべる。

「その拳銃を組み立てるのにどれくらい時間がかかる?」
「そうだなあ…大体、
1R(ワン ラウンド)だ」
「1R? 3分…そんなに?」
「あぁ。ただ組み立てるなら30秒もかからねぇが…元々故障してた上に、試射無しで正確に発砲できる精度が必要になる。
 あのロープを、パツキン大先生に一発で仕留めてもらわなきゃならねぇからな…
 今、萩原が見つけてくるであろう、弾丸を込めてよ」

ドライバーを回す手を止めることなく、松田は呟いた。

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作者名:爽来 | 作成日時:2022年4月25日 22時

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