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zm side
イフリートがあんな風に突然走り出してしまうこと自体が、初めてだった。
学校によく潜り込んできていた犬。
俺が見つけたからかずっと懐いていくれている彼女は、今では相棒のようなものだ。卒業したら自分が引き取ろうかと思っているくらいには。
いつもは元気だが聞き分けのいいイフリート。
だから正直かなり焦ったし、彼女が向かっていた方向がひとらんがよく居る花壇だったから、なんかあったんか…!?なんて、それはそれは全力で走った。
でも。
「安心してゾム、ほら、そこにいる」
そうひとらんが笑って指を刺した方向に、普通ーに居た。なんやねん。
しいて不思議な点があるといえば、元々迷子犬で人に懐きにくいイフリートが、初めてあったであろう女の子に懐いていることで。
自分に気付いた彼女は思い切り飛び掛かって来たものの、やはり上機嫌な様子で。
「大先生とかが大人しい子やって言っとったけど、なんかちゃうねんな。敬語やけど」
「うん。元は明るい子なんだよ、Aは」
オスマンと駄弁りながらうさぎとイフリートをもふもふとしているAは嬉しそうに目を細めていて、こちら側の会話なぞ耳に入ってないようだった。
男子に囲まれている、というのに、危機感ないんやなあ…。
「…でも、驚いた。ゾム、興味なさそうだったのに」
「いんや、確かに関わりあらへんかったしその気も無かったで。ただイフリートが楽しそうやったから」
「そっか」
イフリートの人を見る目は確かなもの。だからこそ、別に悪い人じゃないんだなとはすぐにわかった。
なら別に、会えば話すくらいええか、と。
女子とかそういうのの前にそもそもコミュニケーションを取るのは得意ではないが、それを気にしていなかった程には、一瞬にして絆されてしまったなと思う。
じい、と見ていたからか、くるりとAが振り返る。首を傾げる彼女からふいと目を反らせば、隣でひとらんがくすりと笑った。
「ふふ、あぁそうだ。A、たしかゲームも多少知識あるから話合うかもね」
「えっそうなん!?」
特別話そうとも思っていなかったが、なんとなくあいつらが興味を持つ理由がわかった気がする。
しっぽを振っているイフリートをみて、そんなことを考えた。
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私情につき、更新頻度が激遅になります。
ご了承ください…!
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森樂(プロフ) - ライアさん» 名推理!わかっていただけて安心しました、大正解です!! (2020年12月25日 6時) (レス) id: 319bfda70e (このIDを非表示/違反報告)
ライア(プロフ) - なるほど、名探偵のようなポーズ…実写動画でのお決まりポーズですよね?! (2020年12月24日 22時) (レス) id: a00b590788 (このIDを非表示/違反報告)
森樂(プロフ) - 小豆さん» 私も美術部員ですこんにち((ありがとうございます、引き続きよろしくお願いします!! (2020年12月23日 21時) (レス) id: 319bfda70e (このIDを非表示/違反報告)
小豆 - 同じ美術部員ですどう(((めちゃ神作ですね!!(確定)これからも更新応援しています! (2020年12月23日 11時) (レス) id: 73726d907e (このIDを非表示/違反報告)
森樂(プロフ) - つむ(^p^)**さん» ありがとうございます嬉しいです(号泣)作品の展開的にキャラに偏りありますが続々と出せていけたらなと思うので(願望)これからもどうぞよろしくお願いしますー! (2020年12月21日 15時) (レス) id: 319bfda70e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:森樂 | 作者ホームページ:https://twitter.com/Sinra_ura_d?s=06
作成日時:2020年12月3日 23時