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私の様子を見て察してくれたのか、紹子さんと佳奈恵さんが男性陣を遠ざけ、コソコソと声をかけてくれた。
本人から言うのは恥ずかしいだろうと、紹子さんが男性陣に状況を説明してくれた。
恥ずかしさからさらに俯くが、こんな世界では女性陣だけで行動する訳にもいかないので仕方ないと自分に言い聞かせる。
しばらく話し合い、私が動くのは襲われた時のリスクが大きいということになり、他の皆が女の子の日用の用品を揃えてくれることになった。
『すみません…よろしくお願いします…』
私が申し訳なさそうに言うと、間宮さん達は笑って頷いてくれた。
動けない私の護衛のために残ってくれたミンジュン君と二人きりになり、少し気まずい。
腹部と腰部の鈍い痛みに顔を顰めて俯いていると、彼が自分の上着をふわりと私の肩にかけた。
『ありがとうございます…』
彼の気遣いが素直に嬉しく、顔をあげてにこりと笑う。
少し照れくさそうにしている彼がなんだか可愛く見えて、以前からかわれた時の仕返しをするように、逸らされた顔を覗き込む。
『…照れてます?』
その問いかけに、彼は素直に頷くと私の耳元で小さく「照れてる」と呟いた。
てっきり否定されるものだと思っていたので、予想外の回答にこっちが赤くなってしまう。
そんな私を見て、彼はしてやったりとでも言いたげな顔で笑った。
彼の方が一枚上手なようだ…
“ヴゥゥ…”
呻き声が聞こえ、お互いに見合わせていた顔を声のした方へと向ける。
まだ昼間にも関わらず、数体のゴーレムが私達の方へ向かってきていた。
ミンジュン君がナイフを構え、ゴーレム達を倒していく。
しかし、ゴーレム達は倒しても倒しても引き寄せられているかのようにどんどんと現れる。
(もしかして、血の匂いで…?)
応戦しているミンジュン君を見ながらそんなことを考えていると、後ろから迫ってきていたゴーレムに肩を掴まれた。
『っ!?』
ポケットに入っていたナイフを慌てて突き立てるが、焦っていたせいか、ナイフが刺さったのは頭ではなく首だ。
噛まれないよう必死に迫ってくる化け物の肩を押す。
『ぃやっ!!』
ドンっと鈍い音がして、目の前で涎を垂らしていた化け物が地面に転がった。
「一旦離れよう。」
すかさずトドメを刺したミンジュン君は、そう言うと私の手を引いて走り出した。
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n(プロフ) - リクエストのお話、ありがとうございました!最高でした…!! (2021年3月2日 23時) (レス) id: dbf834a117 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - それでお願いします (2021年3月2日 20時) (レス) id: 1283154a8f (このIDを非表示/違反報告)
なすび丸(プロフ) - こころさん» コメント、リクエストありがとうございます!事故チュー!素敵ですねっ!作者は小学生の頃、クラスメイトのいじめっ子と事故チューしてしまい、クラス替えまでの半年間本当に死にたかったです!(?) (2021年3月2日 16時) (レス) id: 3e2c112d2d (このIDを非表示/違反報告)
なすび丸(プロフ) - アンジュさん» 宇和島さんの時の響くんみたいな感じですね!(笑) 必死で切ない感じに仕上げられるよう頑張ります! (2021年3月2日 16時) (レス) id: 3e2c112d2d (このIDを非表示/違反報告)
なすび丸(プロフ) - ぽんちゃんさん» コメント、リクエストありがとうございます!逆パターンいいですね!順番に書かせていただきますので、楽しみにお待ちくださいませ! (2021年3月2日 16時) (レス) id: 3e2c112d2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なすび丸 | 作成日時:2021年2月23日 22時