気になる人 2

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なに、話してんだろ。


会話は波の音とかBBQで騒ぐみんなの声で聞こえてこない。


表情も逆光で見えないし。



でも雰囲気的に他愛もない話をしているようには思えない。


大体、どうでもいい話は人気の少ない場所では話さないよね。


それにしても、この２人お似合いだな。


玉森くんにはやっぱり絢香さんみたいな美人さんにしか似合わないよね。


なんで、私なんだろ。


いや、もう絢香さんの方が好きになったのかな。






「あ…」






なんで。


なんで、絢香さんとキスなんかするの。


結局、玉森くんは誰でもいいんだね。


最低…。


そう思って振り切ればいいのに出来ない。


なんでこんなに苦しいの。


なんでこんなに胸が締め付けられるの。


なんでこんなに涙が溢れるの。







藤「A？」







そんな時、突然太輔が現れた。


いつも私が辛い時太輔が傍にいる気がする。






藤「なんで泣いてんだよ」





頬を伝う涙を優しく拭いてくれる。


涙、止めなきゃ。


笑わなきゃ。






「夕日が綺麗だったから感動しちゃった」



藤「んな嘘バレバレなんだよ」



「嘘じゃないよ」



藤「嘘」



「嘘じゃない」



藤「嘘」



「嘘じゃないって言ってるじゃん！」



玉「A？」






思わずムキになって大声を出してしまった。


そのせいで玉森くんに見つかるし。


絢香さんは冷たい視線を送ってるし。


太輔はじっとこっちを見てるし。






「あ、あの……、ごめんなさい！」






その場にいたたまれなくなって


逃げた。


結局私は、すぐ逃げちゃうんだ。


嫌な事があったら向き合おうとしないで逃げる。


こんな私、大っ嫌い。

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