人間のクズ。

、 ページ39

いつか見た下校中の景色はね、とてもとても綺麗なものでした。



私は大して乗り心地もよくないバスに乗り、憂鬱とした気分で外の景色を眺めておりました。




わざと鞄を重そうに見せてね、まぁ、重いのですが、それを大袈裟に重いふりをするのです。


誰も見ていないのにですよ。なんとも馬鹿馬鹿しかったと思います。





あの日見た空、雲が少し、夕焼け、日が沈む時、あぁ、綺麗だ。なんとも美しい。


だがね、あの空は誰も見ていやしなかった。
ほんのりピンク色でね、とても美しいのですよ。それでも誰も気にしやしない。




私はある川を見て呟きました。

「あぁ、君もか」



その川はとても綺麗とは言えませんでしたよ。ゴミだらけで、汚い川です。

そんな汚い川を、地面を、私を、
あの美しい空は浄化してやくれないのですから、酷いものでしょう？






あぁ、人は何も見えなくなったか。









私はね、人の人生を見るとどうしようもなく泣きたくなるのですよ。

そしてとても死にたくなる。消えたくなる。



それが例え、どんなに綺麗に生きた人の人生でも、どんなに暗闇を生きてきた人の人生でもね。







おかしなことでしょう？



あぁ、酷い酷い。
あの空のように美しくしておくれ。
あの雲のように私を白くしておくれ。



無理とすら言ってくれない。









ええ。ええ、ええ、底辺でありましょう。








私はあいつを嫌っているのです。


それはそれは、親に捨てられた雛鳥ほどに嫌いです。
ええ、嫌いです。口を開ければいいものを、そうしないがために餌をもらえず死んでいく。


なんででしょうね。私と同じで惨めだからでしょうか。信用できず、自ら拒んでいく。それをするうちに、とうとう見捨てられるのです。




あいつも口を開けない雛鳥にでもなればいい。うるさいのですから。




一つ、最低なことを申し上げましょう。

私は人に死んで欲しいと願ったことがあります。そこまで嫌う者がいます。

あいつが消えたら私は真顔でおりましょう。
内心、下品に笑ってやりましょう。



アイツらも私が死んだ時、そうすることでしょう。いいえ。アイツらは言葉にするでしょう。



【死んだんだ。本当にうざかったよね〜】と。





私はしませんよ。隠れて一人で笑いましょう。


あぁ、殺してしまいたい。死んでしまえ。
そう願います。
誰に？自分に？あいつらに？


あぁ、あの美しい空よ。私を助けてください。あなたのように美しくしてください。

、→←、

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す