忠告4 ページ29
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それが上から溢れ落ちてきたコーヒーによるものだと気付き、上に目を向けると、随分と懐かしく感じる二人が目に入った
「おっと同志じゃないか。コーヒーをわざと溢すのをやめなさい。服にかかって染みになったらどうしてくれる」
「あっはっは、相変わらず軽いね君は。気にするところはそこなの?」
可笑しそうに笑って、リードである縄をつたい下に降り立ったのは、嫉妬の主人である有栖院御国さんだった。次いで、同志2のジェジェ氏が下に降りてくる
「久しぶり」
「久しぶり、かな?あんまり経ってないと思うけど。見ない間に怠惰と仲良くなってるようで何よりだ」
そんな御国さんの言葉に満面の笑顔でVサインを送る。本当に相変わらずだねえ、と笑う御国さんに「そう言えば御国さん、C3にいたんですよね?昔」と問いかけた
「えー、やだなあ。そんな昔話……誰に聞いたの?」
「ああ、狼谷吊戯に」
「ああ、吊戯さんに」
「狼谷吊戯には近づかない方がいい。これはC3にいる中で最重要。あれはもう駄目だ、ぶっ壊れてる。……いや、ぶっ壊されちゃってる」
ゆっくりとだが強く私に言い聞かせるように言葉を並べた御国さんに、「トーマさんに?」と聞き返すと「塔間さんに会った?」と更に聞き返される。そんな御国さんにふらり、と片手を弄びながらため息交じりに「名前聞いただけ」と答えた
「そっか、その二人には気を付けて」と囁くと、更に私に言葉を放つ。その価値観を塗り付けるように
狼谷吊戯は倒すべき敵対者だ。信用してはいけない。邪魔をするだけ。そんな言葉を暗示のように並べる御国さんに、少し冷えた笑みを浮かべ私の返事を述べた
「まあ、もとから信用するつもりなんてないよ。私はあいつのことが嫌いだからね」
「……Aちゃんってそんな顔できたんだね。オレがいない間に何があったの?」
「……まあ、色々と。だからまあ、敵か味方かはどうでもいいかなあ」
そう、どっちでもいい。あいつがどちらに立とうがまるで私には関係ない。敵だろうが味方だろうが、どっちにしろ私はあいつの意見など聞かずに自分の主観を押し付けるだろうから
多分私は、目の前にいるこの人くらい性格が悪い
「だから、御国さんにも私がこれからすることには目を瞑っててほしいかな」
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桜彩 - 続きが楽しみです!頑張ってください! (2020年9月4日 8時) (レス) id: 193d98d6bf (このIDを非表示/違反報告)
F(プロフ) - とても大好きな作品で、新刊が発売される度にここに来てしまいます。これからも待ち続けます。 (2020年4月29日 16時) (レス) id: 22d6502484 (このIDを非表示/違反報告)
かきぴー - 打ち切りになってしまうのですか└(┐゙’ω゙’ω゙`┘)┌ 貴方様の作品が好きなので、私はいつまでも待っていますが大分たっているので生存を別アカで確認に来ました!! (2018年9月24日 0時) (レス) id: ab44efb571 (このIDを非表示/違反報告)
ミナ(プロフ) - ずっと待っています。今回の発売でも小説は進められませんでしょうか?打ち切りであるなら一言下さるとありがたいです。続き、楽しみに待っております。 (2018年3月28日 4時) (レス) id: c82e30fe23 (このIDを非表示/違反報告)
ぶるべりほいっぷ(プロフ) - こんばんは。ずっと作者様の作品読ませていただいております...!更新待ってますので頑張ってください> < (2018年2月26日 21時) (レス) id: 18f2bb9f8b (このIDを非表示/違反報告)
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