忠告3 ページ28
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「あ、ごめんなさい。車守さんの友達なのに」
「ああ、気にしないでくれ。俺が聞いたんだから」
そう言って柔和な笑みを浮かべる車守さん。何か大人だなあ、なんて。笑うと幼くなるのに、やっぱり歳の差を感じる笑顔を見て思う
凄い、いい人だ。車守さんも、弓景さんも。何だかんだ大人だし。なのになんで、あいつだけ変わってないんだろう
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「あ、やっぱり駅からなんすか」
夏祭りの帰りに連れてこられたときのことを思い出す。行きは気絶してたから知らんが、帰りは確か駅に出たんだよな
車守さんがカードを当てると、エレベーターが開いた。そして「受付があるから、そこで修を呼んでくれ」と言われ、エレベーターに押しこまれる。修とは一体……。閉ざされたエレベーターの中で呟くが、頭に乗ったクロからも「さあ……?」という返事しか返ってこなかった
ポーン、という音が響くとエレベーターの扉がゆっくり開いた。扉という障害が消え、目に入ったのは随分と立派な黒い木のオブジェだった。室内なのにすげえー、なんて能天気なことを考えながらそれをボーと眺めていると、突然ガクンっ、と身体に衝撃が走った
「なになにぃ!?敵襲か!?」
「本当お前……悲鳴あげる練習したら?」
「んだとぼけえええええ殺すぞ!」
「あ、悪い。やっぱ何でもねえ」
「失礼すぎね?泣くぞ」
身体に走った衝撃の正体は、黒いイスだった。それに無理矢理座らせられると勝手にポツリと、部屋の中央部に置かれているデスクに向かって移動し始める。結構楽しかったのでいやっふうううう!ってなった、正直ね
イスが急に止まると、横に揺れたりして遊んでた私は危うく落ちそうになった。くっそあぶねえ。すると、デスクの上にぱっ、と電子画面とキーボードが現れる
『ご来訪ありがとうございます』
「いえいえそんな」
『ご用件の入力をお願いいたします』
「だってよクロ、やってやれ」
「めんどくさそうなことだけ押し付けんな……。ていうか何会話してんだお前……」
やだよ、私キーボード打つの遅いもん。てかなんで人型になってるんだよ
すぐ横にあるクロの足をバシバシ叩きながら、そんなこと考えていると「何か猫に戻れねえんだよ」と返ってくる。なるほど、確かに立てない
キーボードは私の代わりに身を乗り出して打ってくれているクロに任せ、周囲を見回していると、急にデスクに黒い染みが広がった
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桜彩 - 続きが楽しみです!頑張ってください! (2020年9月4日 8時) (レス) id: 193d98d6bf (このIDを非表示/違反報告)
F(プロフ) - とても大好きな作品で、新刊が発売される度にここに来てしまいます。これからも待ち続けます。 (2020年4月29日 16時) (レス) id: 22d6502484 (このIDを非表示/違反報告)
かきぴー - 打ち切りになってしまうのですか└(┐゙’ω゙’ω゙`┘)┌ 貴方様の作品が好きなので、私はいつまでも待っていますが大分たっているので生存を別アカで確認に来ました!! (2018年9月24日 0時) (レス) id: ab44efb571 (このIDを非表示/違反報告)
ミナ(プロフ) - ずっと待っています。今回の発売でも小説は進められませんでしょうか?打ち切りであるなら一言下さるとありがたいです。続き、楽しみに待っております。 (2018年3月28日 4時) (レス) id: c82e30fe23 (このIDを非表示/違反報告)
ぶるべりほいっぷ(プロフ) - こんばんは。ずっと作者様の作品読ませていただいております...!更新待ってますので頑張ってください> < (2018年2月26日 21時) (レス) id: 18f2bb9f8b (このIDを非表示/違反報告)
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