【SERVAMP】 一帯誰が←シリーズ・アンコール【アンソロジー】２

昔の事はそうめんと一緒に水に流そう　3 ページ26

虎雪のゴーグルも無事見つかり、夕方になるから帰ろう、という流れになった。ゴーグルを捜していたとき、虎雪に「龍ちゃんは、Aが水着似合ってたから『0じゃない、信じられない』って思いであんなこと言ったんだよ」と教えてもらったから、龍征に対する怒りも収まって、帰りのバスも仲良しこよしに過ごせるな。

　で、帰ろうってなったとき、私は帰る前にトイレを借りようと思って、海の家に寄ったんだ。

「Aちゃん」
「？ 何、おばあちゃん？」

　龍征達のところに戻ろうとしたとき、おばあちゃんに呼び止められた。おばあちゃんは優しく笑って、私に手のひらを出させてある物を握らせた。

「これ……」

　手を開くと、ちゃらりと音を立てて緑色のガラスと貝殻が付いた革紐のブレスレットが現れた。
　これは小3の時、貝殻と、名前は忘れたけど海を流れて丸くなったガラスを皆で集めて虎雪のお母さんに作ってもらったやつだ。次の年に海でなくして戻らなかったはずだった。

「この間落とし物の箱を整理していたら見つけたの。Aちゃんの腕に着いてたの、よぉく覚えてるよ。似合ってたからね」
「おばあちゃん……」

　もう戻らないと思って諦めたのに、こうして何年も後に戻ってくるなんて信じられなかったなぁ。

「おばあちゃん、ありがと！」
「いえね、可愛い可愛いお客さんの落とし物を取っといただけよ。また来年ね」
「うん！じゃ、またね！」

　私はおばあちゃんにお礼を言って、手を振って待つ龍征と虎雪の元へ駆けていった。


〜*〜*〜


「「お邪魔しまーす」」
「ん、どうぞー」

　海からそのまま私の家へ。これも毎年恒例で、私が何かしらお菓子を作っておいてそれを皆で食べてから帰るってのが流れ。確か、この年はコーヒーゼリーだったっけ。

　私はこの時、二人を適当に座らせて洗面所に行った。ブレスレットに砂が付いてたから洗うつもりだった。

「よーし、洗お……あっ」

　腕からブレスレットを取ったはずみで紐が切れて、綺麗なガラスと貝殻が洗面台に散らばってしまった。

(あっちゃー……ま、直すのは後にするか。二人を待たせられないし)

　そう考えて、ガラスと貝殻を革紐に通すだけにして洗面台の隣の台に置いていった。

　その後廊下で龍征とすれちがった。

「トイレ借りるぞー」
「ん」









　＿＿＿＿これが私達の間に亀裂を作る原因になるとは、この時の私は思ってもみなかった。

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