【SERVAMP】一帯誰が←シリーズ・アンコール【アンソロジー】 (ページ35)

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桜色の君・続ページ35

｢っ、おい、A！｣

クロも焦り、慌てて瓶をひったくる。

｢ぷっはぁ！｣

大きく息を吐いたAは、濡れた唇を、赤い舌で舐めとった。

目を細めたその表情に、ぞっとするほどの色気を感じる。

普段は女子力のカケラもないくせにと、クロは忌々しく思った。

｢A、お主、大丈夫か｣ヒューが顔を覗き込む。

｢んん～、へーきらよ、ひゅう｣

Aは笑うと、ヒューに飛び掛かるようにして、抱き付いた。

｢えへへ、ヒュー可愛い･･･ヒューやあらかい｣

｢何をするのじゃ！くすぐったいのじゃ！｣

｢A姉、ヒュー嫌がってんぞ･･･｣

暴れるヒューを見て、鉄が身体を引き離そうと、手を伸ばす。

｢なんらよ鉄、このやろー、良い身体しやがって！ばか｣

ひっく、としゃっくり１つ、Aは鉄の襟に指を引っ掛け、首もとを露にすると、

ふっ、と熱い息を吹き掛けた。

｢んー････良い首らなぁ････ふふ、｣

艶かしく微笑むと、細い指先で、その首筋をなぞる。

鉄は困ったように、眉をハの字にした。

瞬間、クロが強引に、身体を引き剥がす。

｢････何やってんだよ。馬鹿か｣

どことなく不機嫌そうなクロ。

そんな彼を、Aはぼんやりとした顔で見つめると、

突然その指を、ぱくりとくわえた。

温かい桜色の唇。

柔らかい感触が、クロの顔を赤くさせる。

｢っ、なん、｣

｢クロ････ゆび、なんか付いてた｣

Aがくわえたまま喋るので、クロは堪らず、指を唇から引き抜いた。

｢っ･････お前･･･酔いすぎだろ｣

熱いままの顔を逸らし、クロは小さく呟く。

｢しっ、城田、貴様！はしたないにもほどがあるぞ！！｣

御園は、一部始終を見ていただけで、真っ赤になっていた。

そんな御園に、リリイは微笑ましそうにしている。

｢いいらろ、花見なんらなからさー･･･御園もこっち来いよぉ｣

四つん這いになり、御園の方へ這って行くAを、

クロがひょいと持ち上げた。

｢クロ？｣とリリイが見上げる。

｢･････帰る｣

短く言い、背を向けると、挨拶もそこそこに、クロは去っていってしまった。

肩にAを担いだ背中が、桜に紛れて遠ざかっていく。

｢･････A姉って、やっぱ綺麗な顔してるよな｣

鉄が恥ずかしげもなく、そうぼやいていた。