第1話『合宿所』 ページ2
とある日氷帝学園と四天宝寺が合同合宿をすることが決まった
その連絡が来たのが一週間前でＧＷを使った4日間に、跡部が用意した合宿所に行くという事だった
そのことに意を唱えたのは言わずもがな財前だったが、その理由がめんどくさいからだということで却下された
というわけで合宿所に来た面々だったがだいぶ時間がかかってしまっていたようで、部屋わけをして終わろうということになった
「部屋割りだが、学年が違うと気を使うだろう」
「という訳で、跡部クンと相談して各学年ごとで別れてくじ引いてもらうで〜」
各学校の部長に言われてしまえば仕方ない、という雰囲気を醸し出しながらも皆くじを引き各々の部屋へと荷物を持って移動して行った
財前もそれに習い自分の荷物を持って部屋を出ようとすると、ダブルスパートナーである忍足謙也に止められた
「財前！」
「...なんすか？」
「誰と同じ部屋やったん？」
「...知らん、部屋着いたら誰かわかるんちゃいます？」
「そうか！同じ部屋のやつと仲よぉやれよ！」
己を心配して声をかけてくれたのに、こんな言い方しか出来んくてすんませんと心の中で謝り頭を撫でる優しい手を払い除け今度こそ部屋を後にした
「お前が同室の相手か、俺は氷帝学園2年日吉若だ」
「...四天宝寺2年財前光」
部屋のドアを開けるともう既に同室の人が来ていたようで、自己紹介をされた
自分も自己紹介をし終え、荷物を下ろしお互いに黙々と作業をしていた
正直コイツで良かったと財前は思った、良くも悪くも人に干渉せず空気も読める、それにあまり誰かと喋っている様子もなかった...はず
これは当たりかなと内心喜ぶ
「...お前あまり喋んないんだな」
「...喋る内容やってないやろ、無理に話しかけんな」
「別に無理はしてない」
と思っていたのにやたらとこの日吉若は自分に話しかけてくるし、あからさまではないが興味を示してくる
そうなると人間は不思議なものでなんやかんやと言いながらも質問されればそれに応え、お前はどうなんだと逆に質問している
まだ、心の中で助けを求めているのか、と自分の幼さを歯がゆく感じる
この日吉若という人間は下剋上を信念としていて、負けず嫌いだか幽霊やUFOが好きな変人で何故だか知らないが財前に興味を持っているようだ
不思議なやつもいるものだと感じながら、その日は幕を閉じた
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作者名：凪 | 作成日時：2019年5月23日 13時
