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A
隠すこともなく、仰向けでメッセージを打つたつや。
"後輩"ではなく"後輩の女の子"と言ってくれたらまだ聞けたのに。
横から画面を覗くわけでもなく、ただ隣で天井を見つめている私。
メッセージを送り終わって、スマホをサイドテーブルに置き、体ごとこっちに向けてきた。
ふ「Aってさ、まつ毛長いよね」
『そうかな』
ふ「うん、長い。それにパッチリ二重でキレイな目」
『急にどうしたの』
ふ「横顔もかわいいなぁーって思って」
私は相変わらず天井を見たまま、たつやにガン見されてる状態。
『ホントにすぐかわいいって言うよね』
ふ「だって言いたいんだもん」
『ふぅ〜ん』
たつやの顔をチラッとだけ見て私が言うと
ふ「なんだよ〜」
ブーブーブー
たつやのスマホが鳴った。
きっと、"後輩"だ。
スマホに手を伸ばしてメッセージを確認するたつや。
『後輩?』
ふ「うん、そう」
『珍しいね』
ふ「あーー、もうめんどくさい。どーせ会社で会うから返事いいや」
と言って再びサイドテーブルに置いた。
『いいの?』
ふ「いいのいいのー」
ってギューっと抱きしめられた。
怪しい…と思うような、そうでもないような。
今日会社行ったら、河合ふみっていう"後輩"と何話すんだろう。
ただの仕事の話だといいけど…
『そろそろ、私起きようかな…』
ふ「えぇー、なんかつめたい」
『お湯ためておくね!』
ふ「んーーー…じゃあ俺も起きるかぁ」
緩められた腕をすり抜けて寝室を出た。
いつものように、2人で駅まで向かって改札を過ぎたら別れる。
『いってらっしゃい』
「いってらっしゃい」
とお互い手を振った。
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作者名:ふな | 作成日時:2021年7月18日 20時