【REBORN!】だいすきお兄ちゃん【４】 (ページ10)

今日:8 hit、昨日:2 hit、合計:3,406 hit

《１５５》ページ10

男の子に別れを告げ手を振った後、私は路地を出れば全速力で家へと向かう。
私が家を飛び出してから随分と時間が経っていた。

男の子と過ごす時間がとても暖かく、そして楽しいものだったからこそ、自分の頭の中からだいすきな兄の存在を忘れていた。
きっと家に帰れば兄は顔を真っ赤にして私を怒るだろうと、そう思えば帰るのも憂鬱になるものの、半分は明日以降の男の子との秘密の時間を考えてしまう自分もいる。
きっと今日みたいに目を盗んで家を出ることは出来ない。
かと言って兄達が路地裏に行く事を許してくれるとも思えないからこそ、もう会えなくなってしまうのではと不安を抱いていた。

『言っただろ？俺は毎日いつだってここでてめぇを待ってる。それは何があっても変わらねえよ』

頭の中で先程告げられた言葉は、何度も何度も繰り返される。
無理をするなと言って撫でられた頭がくすぐったいのに、その手が暖かいせいなのか、私の不安を一蹴してくれた。
そう思えば怒られるのも自然と覚悟ができてくる。
…わけもなく、遠くに家の前で立ちはだかる兄の姿を捉えれば、私は自然と走る足を緩めていた。

「Aッ！！テメェ！」
「ひゃ…っ！」

まだまだ離れていたというのに、私の姿を視界に捉えた兄は鬼のような顔で私に迫り、逃げようとする私を軽々と抱き上げた。
抱き上げられたことにより動きは封じられ、逃げることなどできない。
すぐ近くで聞こえる乱れた呼吸は、兄が走ったからではなく、怒りを表していることだというのは容易く想像出来てしまった。

「おに、…ちゃ…？あの…ごめんなさ…」
「うるせぇ！にいちゃん、流石に今日は許せねえぞぉ！？」

説教だと、私の言葉を遮り告げられた言葉には心底腹を立てていることが伺えるほどに怒気が含まれている。
自然と身構える体は兄が抱えていることにより、歩みを進めることなく部屋へと運ばれた。
乱雑な足音に父も母もやれやれとした顔で見つめ、通りすがりに頑張れと親指を立てていた。
大きな音を立てて開かれる兄の部屋の扉。しかし怒りに支配されながらも、私の扱いは丁寧で、ゆっくりとベッドの端へと降ろし座らされた後、兄は私を見て顔を歪めていた。